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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。
平成26年
平成27年
平成28年
平成29年
平成30年
令和元年からのコラム
平成31年
113. 長期投資家は幸せ者
114. 選択制確定拠出年金
115. 持続的幸福感の増大
116. 幸福感を高める
117. 人生を明るく豊かにするポジティブ心理学
118. 明るく働き甲斐のある職場づくり
119. 日本的ポジティブ感情
120. 煩悩は常に悪とは限らない
121. バランス感覚は大事
122. 果報は自力で引き寄せる
123 こだわりは長所か短所か
124 年の初めの資産管理
平成28年
113 長期投資家は幸せ者
かつて投資した経験がある
これまでに投資を試みた人はいるかもしれないが、現在も投資を継続している人は少ないだろう。投資をするきっかけは預貯金にお金を預けていてもほとんど増えないので、投資に回せば多少は増えるだろうと期待する。そんなに大きく増えなくても預貯金の利息を上回れば良いと考えた欲求の表れかもしれない。
投資が初めてであればまず証券口座を開設する。その際氏名、生年月日、勤務先と共に投資に回せる資産額や目的を記入する。さらに一般口座、特定口座、源泉徴収の有無などを決めなければならない。
リスクを小さくするために投資対象が分散されている投資信託を勧められることがある。投資リスクには価格変動、流動性、信用、投資対象が海外であれば為替リスク等があることが説明される。また投資信託には購入時手数料、運用管理費用、信託財産留保額等の費用が発生する。
変動の結果は自己責任であり預貯金にはない費用が発生し、これまで聞いたことのない専門用語が多く、場合によっては確定申告をしなければならないとなれば、投資を始める前から気分が重くなる。
実際に運用が始まると投資信託といっても株式が入っていれば、基準価格は変動する。投資資産が 1万円増えたかと思えば 2 万円減少することもある。僅かな変動は想定内としても、投資資産が 3 割も減少すれば落ち着いていられない。
担当者の銘柄選択が間違っていたのではないかと苦情を言ったところ、下がった今こそ買い増しのタイミングだと言われ、投資結果だけでなく担当者にも裏切られた気分になる。
変動幅を自分なりに想定していたが、容易に裏切られればショックは大きい。想定外の下落は後悔を招き自分の行為を否定したくなる。
運良く投資した銘柄が予想以上に上昇することもある。2 割以上上昇したら売却しようと考えていたところ、まだまだ上昇する気運があるのでしばらく放って置いた。そして気が付いたときには投資元本を割っていた。今度は2割といわず1割でも上回ったら確実に売却しようと心に誓う。
一方元本を大きく下回ると今こそ買い増しのチャンスと思い、追加拠出を試みた。既に大きな損失を抱えると多少の損失は気にせず、狙うは一発逆転満塁ホームランである。投資というよりはもはやギャンブルの領域に入り込んでしまった。
このように投資姿勢は経験を重ねると利益に対しては慎重になり、損失に対しては大胆になる傾向がある。これでは長期に渡る投資で資産の形成は難しい。
投資には今まで経験したことのない煩わしさ、欲望をむき出しにした自分、想定外事象に対する後悔などが付きまとう。このような不快な事象を目の当たりにすれば多少預金利息を上回ったとしても堅実に預貯金でコツコツ積み立てるほうがましと考える。
投資が長続きしないのは損益の結果ばかりではなく、投資による不快感が継続の障害になっていると思われる。
ルールを守り継続する
株式投資には昔から言われている原則やルールがいくつかある。まず資本主義社会において常に拡大再生産が行われている。80 円で仕入れたものに付加価値を付けて 100 円で販売される。
企業が存続するためには利益の追求が行われるので、市場規模は確実に上昇を繰り返す。この無限に拡大しようとする姿は人の欲求と重なる。
国の単位で言えば GDP は着実に拡大していく。バブルの時期より現在のほうが GDP は大きくなっている。この企業利益の増加は企業価値の高まりとなって、変動しながらも株式は上昇していく。
また証券業協会の調査によれば、短期では元本に対して収益率のばらつきは大きいが、投資期間が長期になると収益率 12%に収束する。さらに投資期間が 20 年を超えると銘柄に関わらず収益率はプラスに転ずるといわれている。株式の場合売買においては損益双方生じるが、配当があるので損は徐々に薄くなるということだろうか。
景気には山と谷があり繰り返しやってくるが、いつが山でいつが谷かは時間が経過しないと分からない。そして現時点が上昇傾向か下落傾向かは相場の中に身を置かないと感じられない。
投資する金額は変更しても常に投資を継続しないとチャンスは廻ってこない。
金融商品の高度化に伴いどのようなものに投資されているのか分からないものがある。分からないものには手を出さないという原則があり、自分の理解できる範囲で投資をするのが良いといわれている。このようなものは変動幅も大きく、費用も割高である場合が多い。
投資にはレバレッジの効いた金融商品がある。レバレッジとは「てこ」のことであり、投資金額が100万円でもレバレッジが 3 倍であれば、市場では 300 万円の取引が行われている。利益も損失も 3 倍で効いてくる。株式の信用取引や FX 取引がこれにあたる。
自己資金 100 万円に加えて 200 万円を証券会社から借りて投資している。投資はあくまで自己資金、余裕資金の範囲で行い、借金してまで行うものではないと思われる。
負けが込んでくると一発逆転を狙いレバレッジを大きく取り、予想が外れれば投資した金額では足りず追加拠出をすることになる。投資というよりはほぼギャンブルといえるだろう。
長期投資家は幸せ者
長期に渡り投資が続けられる者は、投資に回せるお金を持っていることだろう。そのお金は今年中に使用する予定のないお金である。おそらく期限と金額が確定していない余裕資金や予備資金になるだろう。
余裕資金といえばお金持ちでなければ作れないと思われるが、ライフプランをきちんと立て衝動買いを控えて無駄を省いた生活をすれば誰でもいくらかは作れるだろう。
どんなにお金があっても明日は急にお金が必要になるかもしれない、せっかく貯めたお金が少しでも減ることを嫌えば投資に回す余裕資金はない。
余裕資金とは贅沢をした上で残ったお金ではない。遣り繰り上手だからこそ余裕資金を作ることができると思われる。遣り繰り上手は今日明日のお金は既に準備されている。どうしても遣り繰りできなければ投資を一部解約することもできる。お金の心配があると日常生活で幸福感を感じることはできない。
投資には変動がつきもので、変動による損失を自分で受け止めなければならない。担当者もしくは市場が間違っているなどと言ったところで損失は取り戻せない。仮に今回の損失要因が分かったとしても次回に同様の現象が現れるとは限らない。投資は不確定な将来に期待を込めてお金を投ずることになる。変化することに抵抗が少ないのは幸せ者の証である。
思考がネガティブであれば次も損をするかもしれないと思い投資を継続することは難しい。一方下がったものはそのうちきっと上がるだろうと楽天的にポジティブに受け止められれば投資は継続される。
投資は資本主義の拡大再生産の原則に則っているので長期に渡る投資の中でしっかりとした資産形成が出来上がる。この資産を下に夢を描くことができる。
自分のため、家族のため、社会のためと使い方を考えることは楽しい。経済的ゆとりは心のゆとりとなり幸福感や満足感を高める働きをするだろう。
長野日報土曜コラム 平成 28 年 1 月 23 日掲載
有限会社テヅカプラニング 手塚英雄
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