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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。
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令和元年からのコラム
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137 お金の悩ましさ
138 良い人生の要件
139 クレジットカード
140 きれい好きは弱点
141 怒りのコントロール
142 成りたい自分に成る
143 早期退職を防止する
144 厄払いの効果
145 損をするのは嫌だから
146 お金をかけずに幸せになる
147 相続財産の使途
148 ライフプランが実行できない
きれい好きは美点
ゴミが落ちていればすぐ拾いゴミ箱に捨てる、テーブルが汚れていれば台拭きでふき取る、部屋が散らかっていれば片付けるのは当たり前である。きれいにしておけばスッキリして気持ちがよい。このような人は自宅だけでなく職場や食事で入ったお店でも同じ行動を取るだろう。
勉強をする前に部屋の掃除をする人は多い。部屋の中が片付けば、気が散るものがなくなり気分も良くその後の集中力が高まる。学校や職場では朝一番に全員で清掃してから授業や仕事に取り掛かる。
学校や職場では外見の美しさはそこにいる人たちの心の美しさに通じるのだろう。きれいな環境で勉強すれば成績が上がり、仕事をすれば生産性が高まりよい製品が生まれる。きれい好きは何事においても賞賛されることはあっても非難されることはない。
そもそもきれい好きはPCモニターに付いた小さな埃に気付いている。反射光でないと見えない電話機に付いた手油の汚れに気付いている。静電気により空気中の埃がPCモニターに付着し、微かにかいている手汗で電話機の汚れが目立つ。気にして見なければその汚れには誰も気が付かない。
きれい好きはそんな僅かな汚れにも気付いている。それは汚れだけでなく騒音、異臭にもすぐに気付き、味覚、触覚も優れているかもしれない。人が持つセンサー感度が高いので僅かな変化にすぐ気付いてしまう。
汚いものは身体に悪い
汚れや騒音、異臭などは人の身体の健康に悪影響を与える。腐ったものを食べれば病気になるだろう。それでも口に入れた瞬間に吐き気を感じれば被害は少ない。さらに異臭から腐っていると感じられれば口に入れることもなく健康が保てる。
土砂崩れの兆候として山鳴りや石が落ちてくる音がするといわれる。そんな異音に気付いて避難したため間一髪のところ助かった人がいる。建物に被害が及んでからでは避難がますます困難になる。
車の運転中前に何か飛び出しがあれば、それが何かを判断する前にブレーキを踏みハンドルを切って避けようとする。それはとっさの判断であり人の防衛本能による。
このような防衛本能は人に限らず霊長類、哺乳類、爬虫類、動物全てに備わった感覚である。他の動物のほうが優れた防衛本能を持っていて、人の感覚は多少安全ボケしているかもしれない。犬の嗅覚は人の100万倍以上といわれている。
かつて哺乳類、霊長類、類人猿と進化していく中で人は速く走れるわけでもなく、鋭い牙もなく、強い腕力もないが生き延びたのは防衛本能が優れていたに違いない。
目に見えなくても草むらを忍び寄る猛獣の気配を感じ対処してきたから現代の人がいる。防衛本能は人が進化しながら哺乳類や爬虫類から受け継ぎ蓄積した遺伝情報である。
一般に危険を察知するとその対応パターンは定型化している。迫り来る危険に対して「闘争」「逃走」「放置・停止」である。勇気を振り絞って相手と戦うか、危険が及ばなくなるまで力の限り逃げるか、もしくは何もしないでその場で静かに身構えるである。
道路上に動物の死骸を見つけることがある。その多くは猫であり、犬は見た覚えがない。おそらく迫る危険(自動車)に対して放置・停止して相手を威嚇しながら身構えたのだろう。その結果無残な姿になってしまった。犬は相手と仲良くなるか相手に従うことが生き残る術と知っている。
強い防衛本能保有者は不幸せ
きれい好きはゴミや汚れに敏感である。無意識の中でゴミや汚れがないか注意を払い、ゴミが見つかると危険信号とみなして対処してしまう。ゴミや汚れ程度なら命に関わることはないと分かっていても本能が意識に命じて行動を取らせる。
この一連の反応は他の状況でも現れる。投資では評価額が相場の変動に応じて増減する。投資をすれば損をするかもしれないのでやらない。確かに損をすることもあるが得をすることもある。長期に投資を継続すれば儲かることのほうが多い。
損することばかりに意識が偏り儲かることを除いて受け止める。リスクはマイナス方向の危険としか受け止められない。よって増えなくても減らない貯蓄を選んでしまう。
未婚女性の特徴のひとつかもしれないが、新たな交際のリスクを取ろうとしない傾向がある。男女の交際は期待通りに進展することは珍しい。勝手に期待して裏切られるくらいなら初めから期待をしないほうが安心である。
職場の人間関係にも通ずることだが、親しくなると何かと面倒なことも伴うことがあるので深入りしないのが社会人の処世術と捉える。
資産が減少する、期待が裏切られる、面倒に巻き込まれるなどネガティブな側面ばかりに気を取られている。想定以上に資産が増えたり、相手の思わぬ言動に心ときめいたり感謝することだってあるはずだ。
ネガティブな言葉はポジティブの言葉の3倍以上威力があるといわれている。ネガティブ要因に注目するのは危険因子が含まれていて、命に関わると受け止めてしまうからだ。ネガティブに染まるとやがてうつ病を発症する可能性が高まる。
かつての命の危険回避本能が現代の新たな危険を引き寄せることになる。
レジリエンスを強化する
スポーツ選手が試合に敗れた後のコメントで「切り替えて」という言葉をよく使う。敗れたことは悔しいけれど悔やんでいるだけでは敗れた結果が生かせない。負けを素直に受け止めて次の試合に向けて意識を「切り替えて」準備に取り掛かるということではないか。
試合に敗れた後はとかくネガティブ志向になりがちである。スポーツでは高いパフォーマンスを表すのにネガティブ志向は好ましくない。スポーツに限らず仕事でも日常生活でもネガティブ志向は好ましくない。
相当意識的に切り替えないとネガティブから脱することはできない。なにしろポジティブより3倍以上の威力があるのだから。
この意識の切り替えは自分なりの方法が取り入れられている。生のスポーツ観戦やコンサートに出かけ元気やパワーをもらう。休みに家族で旅行に出かけ充電する。美味しいものを親しい友人と食べて食欲を満たす。人の五感が喜ぶことを行いネガティブからポジティブに切り替えている。
他にも休息を取る、運動する、瞑想するなど人それぞれ自分にあった方法を時間とお金と相談しながら見つけたい。
ダメージを受けてからの回復力、忍耐力、受容力等をレジリエンスという。このレジリエンスが鍛えられると立ち直る力が強くなる。
悔しいことがあっても意識を変えられれば大したことはないと思える。相手から酷い言葉を言われても何故相手はそんな言葉を吐いたのだろうかと考えられれば感情は高ぶらない。何があっても大したことがないと受け止められればネガティブから脱しやすくなる。
日頃ネガティブな事象のほうが気に掛かりやすいので、どうしても気分はブルーになりがちである。少なくとも楽しいこと、夢中になれること、ポジティブが事象を3倍取り入れないとバランスが取れない。
最も効果的にレジリエンスを鍛える方法として「感謝」が挙げられる。自分なりの充電方法を繰り返せばやがて慣れて飽きてしまう。このマンネリ化した気分を一新するには「感謝の念を高める」といわれている。「ありがたい」という気持ちで出来事に接すれば、当たり前という感覚は失せ、特別なものとして新鮮に感じられるだろう。
長野日報土曜コラム 平成30年4月28日掲載
有限会社テヅカプラニング 手塚英雄
140 きれい好きは弱点
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