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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。
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令和元年からのコラム
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137 お金の悩ましさ
138 良い人生の要件
139 クレジットカード
140 きれい好きは弱点
141 怒りのコントロール
142 成りたい自分に成る
143 早期退職を防止する
144 厄払いの効果
145 損をするのは嫌だから
146 お金をかけずに幸せになる
147 相続財産の使途
148 ライフプランが実行できない
退職理由の大半は人間関係
退職者の割合は7・5・3といわれている。入社して3年以内に中学卒で7割、高校卒で5割、大学卒で3割が退職するということだ。リーマンショック後の就職氷河期ではもう少し低く、現在では大分上昇していると思われる。2008年当時の有効求人倍率0.47に対して現在の有効求人倍率は1.60から推測できる。
現在は高齢者の大量退職と景気の拡大が重なり中途、新卒共に企業は採用に苦慮している。こんな時期だからせめて今いる人員には辞めて欲しくない。リーマンショックから10年経つが、雇用状況が180度変わった。
中途退職者の退職理由を見れば、1.給与・福利厚生2.人間関係3.待遇4.仕事のやりがい5.会社の将来性・安定感等と続く。職場が明るく楽しく仕事は面白くやりがいがあれば給与や福利厚生に対する不満は減少する。
退職理由はあからさまに上司であるあなたが嫌で辞めたいとは言えないので、周囲を混乱させないよう建前理由を挙げることが多い。親の面倒をみる、家業を継ぐ、資格取得してスキルアップ、結婚により勤務地変更等をあげて波風を抑える。
仕事におけるやりがいは上司、同僚や顧客からの評価によって得られることが多い。自分自身で評価した結果は自己満足になりがちで達成感は薄い。業務結果が自分で満足しかつ相手も満足した場合に初めてやりがいが感じられる。
仕事の内容がある程度想定できるものならば、仕事に対するやりがいは人間関係の範疇といえるだろう。人間関係が良好であれば給与アップ、待遇向上等は企業が利益を上げられれば達成可能である。企業利益向上は企業の将来性と安定感に結びつく。
中途退職は本人にとっても会社にとってもデメリット
企業は社員募集から採用までに相当の時間と経費を要している。待っているだけでは希望する人材が集まらないと思えば、いくつもの就職サイトに登録して学生との出会いの場を増やす。
最近では企業説明会に加えて企業の実務が体験できるインターンシップ制度を取り入れている企業が増えてきた。かつては学生のインターンシップ労働に対して無償であったが、最近では時給1,000円~2,000円程度の報酬を払う企業もある。
そして筆記試験、適性検査、面接を行い採用する。入社しても業務によっては半年から1年くらいは研修が続く。新入社員に掛けた経費が将来会社の利益となり返ってくる事を期待して研修をさせ、その間の給与や社会保険料、税金を支払う。
本人にとって嫌な職場であれば生産性は上がらず納得のできるアウトプットは残せない。悶々とした日々は無駄に時間が過ぎるだけである。精神的に落ち着かなければ、やがて身体の不調として表れる。出社拒否やうつ病になるかもしれない。
転職を繰り返せば自分の履歴書に勤務先記載項目が増える。新たに就職を希望する際、採用担当者はどのように見るだろうか。数多くの企業を経験して頼もしいとはなかなか思わない。またすぐ辞めてしまうなら採用を控えようと考えるかもしれない。
学生を卒業してキャリア形成もされずに時を経過すれば、本人の職能価値は徐々に逓減していく。気が付いたら同世代のものとは相当離れた報酬となるかもしれない。
海外ではキャリアアップのために転職をするが、日本ではこのようなケースは稀で転職をすればするほど採用側は厳しい目を向けがちである。
レジリエンス
レジリエンスとは「困難な状況にもかかわらず、しなやかに適応して生き延びる力」「逆境から素早く立ち直り、成長する能力」などと定義される。
日本のことわざに「婿は座敷から貰え嫁は庭から貰え」があり、その意味は「婿養子は自分の家より高い家柄から貰うのがよく、嫁は低い家柄から貰うのがよい」ということである。特にこれは家で事業をされている場合に事業に行き詰まり苦労することになっても、低い家柄の嫁は苦労を経験しているので簡単にはくじけないことである。
レジリエンスは苦労を経験しなければ身に付かないものかといえばそうではない。レジリエンスを構成する要素は以下の6つである。
① 自己認識:自分自身の感情や思考はもちろん、自分の強みや弱み、大切にしている価値観や人生の目標を正しく認識すること。逆境に陥ったとき、自分が怒っているのか悲しいのかつらいのか、まず自分の感情を正しく認識することが、立ち直るための第一歩である。
② 自制心:その時々の状況に応じて自分の感情や思考、行動を律すること、適切に制御すること。逆境時の感情や思考を自己認識したあとは、それを制御して、適切な行動に移ることである。
③ 精神的敏捷性:物事を多面的に捉え、大局的見地から対処すること。何らかの逆境に直面したとき、むやみに慌てたり感情的になったりせず、冷静に原因を究明し、適切な解決策を講じて、迅速に対処する。
④ 楽観性:未来はより良いものになる、良くすることが自分にはできるという確信を持つこと。ストレ
スを脅威と思わず、自分がもう一回り成長するための挑戦と捉えること。ストレスの原因となる事象のうち、自分がコントロールできる部分とそうでない部分をきちんと区別する。
⑤ 自己効力感:問題を解決し、外部の世界を自分でコントロールできる、つまり「やればできる」という自信のこと。逆境に直面しても「ダメかもしれない」とひるむことなく、勇気を持って行動すること。
⑥ つながり:これは、「他者とのつながり」のこと。逆境に見舞われたとき、誰かがそばにいてくれるだけで救われる。支えてくれる他者がいることは、その人が持つ貴重な資源、財産である。日頃から信頼できる仲間を作っておくことは、レジリエンスを高める作用がある。
退職理由にあてはめれば、嫌々ながら行う仕事は効率が悪く時間ばかりかかる。こんなに時間を掛け働いても給与は大して変わらない。いつしか仕事のネガティブな側面ばかりに意識が向くようになる。負のスパイラルに陥ると自分の身体を壊して仕事ができなくなるか、自ら仕事を辞めるかの二者択一の選択になる。
レジリエンスを高める
レジリエンスを高めるには6つの要素をひとつずつ強化することである。ネガティブな側面に意識が向くことを止め、どうしたらこの困難な局面を少しでも打開できるか考えることである。そうすれば時系列に解決プロセスが浮かんでくる。
更にレジリエンスを高める方法として、「感謝の感情を高める」である。ネガティブな側面ばかりに意識が向いているものに感謝の感情を向けたらどうだろうか。相手のほとんどが気に入らなくても一つや二つは感謝の対象もあるだろう。今まで気付かなかった所が感謝の対象になると気づけば先ほどまでのネガティブ感情は減少する。
嫌な上司でも少なからず世話になったり、教えてもらったりしたことはあった。感謝の意識が出てくれば上司はどうしてそんな行動を取るのかと分析し認識するようになる。上司を変化させることは難しいが、自分が変化することで解決できることは多い。
性格が短気やきれやすいはレジリエンスが低い現れである。結果として得することは少なく損することが多い。レジリエンスは我慢強い辛抱強いではなくしなやかで弾力性のある生き方になる。男性より女性のほうがレジリエンスは高いといわれる。仕事に限らず生活全般においてレジリエンスは高めていきたい。
長野日報土曜コラム 平成30年7月28日掲載
有限会社テヅカプラニング 手塚英雄
143 早期退職を防止するレジリエンス
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