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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。
平成26年
平成27年
平成28年
平成29年
平成30年
令和元年からのコラム
平成31年
77. 仕事は要領
78. 仕事はいきがい
79. 仕事だからしょうがない
80. いい職場にしよう
81. 職場の人間関係
82. 上司とうまく付き合う
83. いっそ起業する
84. 企業は易い継続は難し
85. 良い人だけでは残れない
86. 種の保存
87. 子は親の鏡
88. 兄弟は他人の始まり
89. 物より思い出
平成25年
80 いい職場にしよう
質素倹約は美しい
クールビズが定着して、夏になればネクタイを外す姿が当たり前になってきた。おそらく今年の夏もクールビズが流行るだろう。首元から流れ出る汗はネクタイにより行き場を失い首元に溜まる。カラーシャツであれば汗により色が変わってしまうので、ブルー、グレー等のシャツは夏には着られない。首元がオープンになるのは本当にありがたいと思う。
行政の職場などでは、エアコンの設定温度は28℃、昼休みだけでなく就業中も照明を落とし仕事をしている姿を見かける。見た目には頑張っているなと映る反面、真っ暗の中パソコンの画面の明るさだけで仕事をするのはどうだろうかと思う。
設定温度以上にパソコンの発熱や人の体温によって職場は相当熱いはずだ。多くの人の汗の臭いが部屋中に充満する。温度が高ければ思考回路も途切れがちになる。暗がりのパソコン操作は、照明をつけずにテレビを見るのと同じである。眼に対する疲労は相当高まる。そうなればミスも多く発生する。そのため小さなミスがトラブルにつながらないようにダブルチェックを行なう。
こんな職場環境を誰が好むだろうか。仕事をしている当事者は誰も望んでいないだろう。外部からたまたまやってきた人が、頑張っているなと満足するのである。
低下した作業効率やトラブルによる機会損失は、努力と根性だけでカバーできるのだろうか。税金から給与が支払われる公務員は市民に対するパフォーマンスも大事だが、そこで働く者および仕事の結果はどうなっているのだろうか。
衛生理論
衛生理論はアメリカの臨床心理学者、ハーズバーグが提唱した理論であるが、職場の環境が悪ければ人は不満を感じるという。職場環境は人の五感で感じる不快感以外にも会社の方針や管理、監督者との人間関係、労働条件、同僚との関係、給与などが含まれる。
仕事に不満を感じれば当然効率は上がらない。他人に迷惑がかからなければ、仕事の手抜きを考えるかもしれない。厄介な仕事は避けて他に回そうとする。一方管理する側も細かいルールで作業者をしばり、ルールやマニュアルで仕事を管理しようとする。そして新たに作られるルールは、人は放っておくとさぼったり手を抜いたりするという性悪説に基づいて作成される。
更に管理上、どんなことでも報告、承認を求める。現場の作業者の裁量で行なえる範囲は限りなく少なくなる。管理者は部下の行動の監視に追われ、担当部署の改革まで手が回らなくなる。もしくは監視することが上司の仕事の大半を占める。
こうなると仕事をする意義は、自分の生活を確保することに集約されるかもしれない。要するにどんな仕事でもお金になる。生活するため、生きるためには仕事は辛くても苦しくても仕方がない。お金によって自分の生活が守られる。仕事以外の趣味を充実させることが出来る。
お役所仕事という言葉があるが、形式主義で、不親切で非効率な役所の仕事ぶりを非難した言葉である。縦割り組織で他部署には干渉しないことから、重複する仕事が発生する。
役所や金融機関は3年くらいで担当する職務が変わる。これは長年同じ仕事をしていると、業者と癒着したり不正を起こしたりすることを避けることからである。ここでも職員、従業員を性悪説の観点から見ていることになる。
役所の仕事には公平性が求められ、担当者が変わるたびに判断が変わってしまうことは避けなければならない。そこで新しい人でもこれまで同様の判断が出来るよう、ルールやマニュアルが必要になる。
動機付け理論
衛生理論では職場環境に不満を感じていれば、仕事に対するやる気が起きないといわれているが、職場環境が快適になればやる気が高まるかといえばそうではない。環境はマイナス要因になってもプラス要因にはならないと
いわれている。
やる気が起きるプラス要因には仕事に対する達成感、上司や周囲からの承認、仕事そのもの、責任感、昇進・成長などがある。これらが満たされると人はやる気になって仕事に取り組む。
最近の大卒者の就職活動は大企業に集中して、中小企業やまして自ら起業する者は少ないといわれている。リスクを嫌うためか、高い給与を求めるためか、知名度を求めた結果かもしれない。しかし、せっかく入社した大企業でも3年以内に3割の者が退職している。
一方転職する者は、やりたい仕事を見つけるためといい、給与の多寡はほとんど気にしない。給与は生活が出来れば良く、企業ブランドに関心も示さない。借金をしながら自分の店を持とうとする。
まさに動機付けが行なわれ、好きなことをやって達成感を味わおうとしているので、時間が経つことも忘れて仕事に没頭しているのだろう。チャレンジ精神が旺盛なので、ピンチもチャンスに見えてくるのかもしれない。
もしこのようなやる気に満ちた部下がいたらどうだろう。給与が少なくても文句は言わない、指示した業務を期限より早く、かつ期待した以上の結果を出すかもしれない。管理者は管理監督に追われることはなく、管理者としての仕事に取り組める。
頑張ってくれる社員には感謝の気持ちが自然と湧いてくる。社員も管理者の期待に応えようと努力を惜しまなくなる。互いにウィン・ウィンの関係が成立する。
人の欲求には5段階があって下位から生きるための基本的欲求である「生理的欲求」、安心、安全に暮らしたい「安全欲求」、集団に属したい、仲間が欲しいという「社会的欲求」は衛生理論の環境に対する不満に通じる。
一方他者から認められたい、尊敬されたいという「尊厳欲求」や自分の能力を引き出し創造的活動をしたい「自己実現欲求」は動機付け要因である。
いい職場にしよう
組織の中で働く場合、誰もが企画や商品開発など創造的な活動を求められる職場で働けるわけではない。多くの者は繰り返しの業務に携わるだろう。また、苦情処理部門は毎日顧客からのクレームに対応せざるを得ない。
電話を取るたびに、顧客から叱られたり、文句を言われたりすることから仕事が始まる。営業職もすんなり商談がまとまることはない。すでに取引しているところがあるはずなので、断られることから始まる。毎日叱られたり、文句を言われたり、断られれば、自己否定、人間不信に陥っても不思議ではない。
仕事は一人で行なうことは少なく、多くの場合組織やチームで行なう。そこには複数の人が存在するので、社会
的欲求は満たされているように見えるが、互いに挨拶もない、励ましもない、指導・教育がなければ社会的欲求は満たされない。
どんなに繰り返しの単純作業でもより数多く行なう、ミスなく行なえば賞賛に値する。その人なりに障害を乗り越えれば尊敬に値する。尊厳欲求が満たされることになる。さらに個人の意見や希望を聞いて、改善が実施できれば自己実現欲求が満たされることになる。
今から30年ほど前に書かれ、当時ベストセラーになった書籍がある。NHKアナウンサーであった鈴木健二著書「気くばりのすすめ」の中に伸びる会社と伸びない会社の違いは、管理職が部下や従業員の話を良く聞く会社が伸びる会社であるといっている。
もし部下や従業員から意見や考えが出てこないならば、普段から聞く耳を持っていないので、話しても仕方がないと愛想をつかされている証拠だと戒めている。職場を明るくするのも暗くするのも上司や管理者の役割は大きい。
長野日報土曜コラム平成25年4月27日掲載
有限会社テヅカプラニング 手塚英雄
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