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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。
平成26年
平成27年
平成28年
平成29年
平成30年
令和元年からのコラム
平成31年
77. 仕事は要領
78. 仕事はいきがい
79. 仕事だからしょうがない
80. いい職場にしよう
81. 職場の人間関係
82. 上司とうまく付き合う
83. いっそ起業する
84. 企業は易い継続は難し
85. 良い人だけでは残れない
86. 種の保存
87. 子は親の鏡
88. 兄弟は他人の始まり
89. 物より思い出
平成25年
85 良い人だけでは残れない
起業家の生存率
起業する動機のベスト3は自己実現、裁量労働、社会貢献といわれている。サラリーマン時代に理不尽な仕事をしたり、職場でパワハラを受けたり、仕事自体にやりがいを見いだせなかったりしたのかもしれない。そんな経験の下で起業をしたのであれば、過去の反省から自分の納得のいく仕事や職場環境を整えると思われる。
一念発起して起業しても、その生存率は1 年目70%、5年後15%、10 年後6.4%、20 年後0.3%という数字がある。多くの者が志半ばで断念している事実がある。
起業するには少なくともパソコンなどOA機器が必要になる。さらに事務所や人を雇うことになれば設備資金が必要になる。起業して3年間くらいは赤字企業といわれているので、多くの起業家は借金だけを残して倒産、廃業したことになる。
社会が右肩上がりで成長している時代は、何をやってもそこそこやって行けたかもしれない。しかし、バブル崩壊以降デフレ経済、成熟社会では業界によって大きく異なる。最近では事務所数を伸ばしているのは医療、介護、福祉の分野に限られている。
追い風業界に身を置いて起業すれば、生存率は高まるかもしれないが、畑違いの業界に踏み込むことは難しい。それでも向かい風業界にいながら生存している企業も数多い。
良い人は最低条件
ディズニーには共通して、良い子にしていればいつの日か必ずプリンスが現れ幸せにしてくれるというストーリーがある。品行方正であれば誰かがきっと助けてくれるので、慌てずに助けが来るまでじっと待てばいい。
こんな妄想を描いても世の中は自分のことで一杯なので、他人のことまで気を回すことができないのが現実である。当たり前の話であるが、何をしているか分からないところに仕事を依頼することはできない。良い子で何もせずに待っているだけでは、自分の望む未来がやってくるはずはない。時々かかってくる電話は事務機器の見直しとあやしい投資の勧誘話くらいである。
かつていた地元では腕が良いと知られていた大工さんがいなくなった。作業所はそのままでも看板がいつの間にかなくなっていた。
住宅建築はテレビで頻繁にCMを流すプレハブメーカーが主流になり、個人で行なっているところに住宅建築の依頼が少なくなったのだろう。
施主の立場になれば、良いものを安く建てたい、そんな思いを叶えてあげようと事業主が思えば、ひとつの工事を通じた利益は少なくなる。それでも建築数が多くあれば利益は得られるが、建築数は減少傾向である。建築資材の購入にはまとまったお金が必要になる。施主のためという思いが自分の事業を苦しめる結果につながった。
下請けの業者でも同様である。元請から指値で注文を受けるとやらざるを得ない。赤字と分かっていても目前の支払に充てられる。これまでの義理もあるから簡単には断れない。どんなに良い人であっても良い人だけでは、残れないのが現在の世の中なのだろう。
悪い人のところには二度と来ない
良い人は相手のことを優先してしまうために、自分の事を後回しにしてしまう。その結果事業が成り立たなくなってしまう。事業が立ち行かなくなった人が、全て良い人かといえばそうではないが、良い人が事業を辞めざるを得ないのは残念なことである。規模が縮小する時代ゆえ仕方がないかもしれない。
それでは現在でも悠々と事業を継続しているところは悪い人しかいないのだろうか。
東京で集会があり田舎から参加した者2 人が店で女の子を飲みに誘った(いわゆるナンパである)。当然知っている店もなく土地感のある女の子に任せて入った料理店では、メニューに価格は明記されてなくほとんどが時価とだけ書かれていた。女の子主導で注文され、普段食べたことのないものを中心に注文し、それらはほとんど時価と書かれたものであった。
しばらくしてまずいと気が付き、女の子を置いて店を出ようとした。そこで会計伝票を見ると、4人分で10万円を超えていた。おごってやるよと誘った手前いまさら割り勘とはいかない。1 時間もいなかったと思うと言っていたが、高くついたものだ。後で気付いたが店と女の子はグルであったと思われる。俗にいうぼったくりの店であるが、酔った勢いと下心が高くついたものだ。
このような店は田舎には存在しない。常連客を中心に商売しているところでは、美味しくてリーズナブルでなければ継続できない。悪い評判が立てばたちまち客は近づこうとしない。
また、相続対策と土地活用と言いながら、地主にアパートを建てさせる業者がいた。地域人口が減少する中でアパート需要があるのか誰でも不信に思うところだが、家賃保証システムがあるから入居者がいなくても家賃は保証されているという言葉を信じて大きな決断をした。
家賃保証システムとは入居者がいるうちの家賃回収代行を意味するもので、入居者がいなくなれば保証はなくなり、建物が古くなれば家賃の値下げが設定され、さらに修繕も管理会社指定の業者で仕様も決められている。費用負担だけが地主である大家に求められる。
こんな商売はいつまでも続かないと思ったら、地域を転々と移りながら継続しているのである。悪評が広がる頃には次の地域に展開されているのだ。入居者が入らないアパートを建てさせられた地主は、大きな負債と後悔を抱えたまま相続を迎えることになる。
真摯でなければならない
リーダーに最も求められるものを、P・Fドラッカーは「真摯でなければならない」と言っている。真摯とは自らの仕事を天職と受け止め一生懸命取組むことである。
自分の仕事に誇りと自信がなければ相手に勧められない。真剣に自信を持って勧められないものにお客が金を払うはずがない。もし一度はお金を払ってくれたとしても、リピーターになってくれなければ事業の継続は難しい。
真摯であれば自然と熱く夢を語る。夢はビジョンとなり共に働く者にも浸透する。複数人が一緒になり起業すればリスクが分散されると思われるが、なかなかうまく行かない。明確なビジョンがなければ、場当たり的な対応になりかねない。
常に一貫した方向性が示されていれば、従業員も顧客も安心が得られる。従業員も顧客もファンになる。
ファンになってくれれば従業員は一生懸命働くだろうし、顧客は喜んでお金を払ってくれる。しかし、その期待に応え続けることは並みの苦労ではない。
そんな完璧な社長は少ないが、成長している会社の社長と話をしていると、共通するものが感じられる。
ひとつとして「個性」が挙げられる。人の話を聞いているようで聞いてなかったりする。容易に迎合することがない。お世辞を言いながらも自分の意見をしっかり伝えている。原因、結論、対処法などエッセンスに注目し、余計と思われることは省いている。
2 つ目として「明るさ」を持っている。しかめっ面では相手が心を開かないことを知っている。誰とでも気さくに話ができる用意ができている。
年齢、性別、職種を問わず誰に対しても笑顔で接している。
3つ目として「夢を語る」。次から次と湧いてくる思いを人に語りながら、イメージを形にしていくようだ。部屋にこもってじっくり構想を練るのではなく、自分の発する言葉で自分が新たに気付いている。聞いてる方は社長の絵空事のようにも聞こえるが、話しっぷりはとても熱い。
4 つ目として「貪欲」である。社内が残業続きでどんなに一杯の状態でも、仕事がない、仕事が欲しいと言い続けている。また、新しいビジネスはないかと交流会に参加し、情報収集には余念がない。
どんなときでも真っ当に頑張っている人には応援したくなるが、下を向いたり、愚痴ばかりこぼしている人には近づき難いものだ。
長野日報土曜コラム平成25年9月28日掲載
有限会社テヅカプラニング 手塚英雄
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