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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。
平成26年
平成27年
平成28年
平成29年
平成30年
令和元年からのコラム
平成31年
77. 仕事は要領
78. 仕事はいきがい
79. 仕事だからしょうがない
80. いい職場にしよう
81. 職場の人間関係
82. 上司とうまく付き合う
83. いっそ起業する
84. 企業は易い継続は難し
85. 良い人だけでは残れない
86. 種の保存
87. 子は親の鏡
88. 兄弟は他人の始まり
89. 物より思い出
平成25年
83 いっそ起業する
起業すれば
サラリーマンは雇われの身ゆえに職場環境や人間関係において何かとストレスが多い。ストレスで病気になる人もいるだろうし、人間関係を円滑にするために余計な気配りをしなければならないこともある。そのエネルギーや時間を本来業務に向けられたら仕事はもっとはかどるだろう。サラリーマンにはストレスが常に付きまとい、ストレスを上手くコントロールすることが業務能力と共に求められる。
人生の限られた時間を有効に過ごすには、こんな状態をいつまでも続けるわけにはいかない。病気になって体を壊す前に一念発起して起業することも考えられる。
サラリーマンを辞めて自営業者になれば、人間関係で悩むことは少なくなる。相性の悪い相手とは仕事をせずに済む、嫌な客ならば相手にしなければ良い。また出社時間は自分で決めればよく、好きなときに仕事が出来る。
さらに体調が悪ければ休むことも出来るし、法人化すれば周囲から社長と呼ばれることになる。好きな
仕事だけに没頭でき、管理されることがないので、うるさい上司はいない。これまで神経をすり減らしてきたストレスからは開放されるだろう。
しかし、良いことばかりではない。パソコンを眺めているだけでは、仕事が舞い込んでくることはない。売上がなければ、事業の継続は不可能になり、個人の生活も成り立たない。
いつでも休めるが、代わりがいないので実際に休むことは出来ない。上司がいないので困ったときのアドバイスを受けることも出来ない。同僚もいない、いるのは同業他社の仲間であるが、彼らは競争相手でもあるので、親身の相談は出来るはずもない。
そして自分ひとりで判断し、全ての責任は自分に返ってくる。来年、半年先の姿を具体的に描けず、常に不安の日々を過ごすことになる。それでも一度自由を手に入れると、サラリーマンにはなかなか戻れない。自営業者には自分の裁量で判断できる自由がある。
起業するには
個人事業主として起業することもできるが、法人化して起業するとしよう。かつて株式会社では1,000 万円、有限会社では300 万円の資本金を要したが、最低資本金制度が廃止され1円でも会社を設立できるようになった。
法人化する目的として個人に比べて信用力が高まる、給与所得控除、生命保険、退職金等で節税対策ができるなどである。会社設立は専門家に任せることはできるが、自分でもできないことはない。起業すれば色々と雑多なことを自分でやらなければならないので、初めの一歩として自分でやってみるのも良いだろう。
各役所に提出するフォームはネットで検索すればそれらしいものがある。また最低資本金は廃止されたが、手続きにかかる費用は発生する。
会社の定款、印鑑を作成し法務局に申請すれば、登録免許税、収入印紙、定款認証手数料等がかかる。税務署へは法人設立届け、青色申告の承認申請、棚卸資産の評価方法、減価償却資産の償却方法等を申請する。
また年金事務所へは健康保険、厚生年金保険の申請、役場等にも法人設立届の申請、従業員を雇う手続きは面倒に思われるが、その一つ一つに意味があるので、経験を下に各役所の役割を知るちょうど良い機会になる。サラリーマンをしていれば総務、労務、経理等関連する部署にいなければ知ることはない。分からないこと
って経験すれば、誰でも一通りは理解できるだろう。
世間で言う専門家は、世の中の仕組みと一般人の理解との架け橋を担っているが、世の中の仕組みに準じて事を進めようとするときに専門家でなければ出来ない訳がない。短時間に漏れなく落ちなく賢く行う場合には専門家の力が発揮されるが、決められたことを決められたとおりに行なうだけならば、まずは自力で試みてはどうだろうか。
日本は開業率が低い
中小企業白書によれば現在日本の開業率は4.5%、米国9.3%英国10.2%であり、政府の成長戦略のひとつにこの開業率を10%前後まで引き上げることがあげられている。開業率が低迷している理由は資金調達が難しいとされているが、独立開業したいと思う人がどれだけいるのだろうか。
学校教育は高校までは基礎教育、大学で専門教育を教え、良き被用者、労働者を育てる教育のように思われる。高校までに偏差値を高め有名大学に入学できれば、やがて優良企業に就職できる。そして定年まで無事に勤め上げれば、安定した老後が保障されている。
人が集まり集団になれば、そこには組織が形成される。国、都道府県、市町村、会社、地域すべて組織の下で運営されている。組織の中で管理者、長と言われる者は極少数である。ほとんどは管理される者、被用者、労働者である。
教育の重点は経営者やトップの育成ではなく、多くの良き被用者の育成に充てられる。良き被用者になるべく教育されてきた者が、どんな規模であれ社長、代表になることは異次元の発想に近い。
大学によってはMBAを取り入れているところもあるが、ほんのわずかである。会社に入り出向してMBAを取得できるのは限られた幹部候補生である。ほとんどの被用者には報告、連絡、相談という従順と忍耐が求められる。
地域において若手経営者は数多くいる。地域を盛り上げているのはその若手経営者たちである。彼らにしても自ら起業した創業者は数少ない。家業を継いだ2世、3世経営者がほとんどである。彼らは子供の頃から親の背中を見ながら経営者たるものを学んできたのだろう。親としても自分が築いたものを誰かに継いで欲しいという願いがある。一時的にはサラリーマンを経験したかもしれないが、それは後継者となるための教育の一環である。
人間性が評価される
起業して法人化できたとしても、事業を継続していけるかが永遠の課題である。決算が赤字続きではやがて会社は倒産し、融資にはおそらく個人保証しているので、個人の資産も無くなる。
よって、売上、利益、資金繰りには常に気を配らなければならない。高い志を持って始めた事業も会社が立ち行かなくなれば、志半ばで諦めなければならない。夢多き起業家は夢の実現に没頭するあまり、お金の計算を疎かにする場合がある。自分がお金に目を配れるようになるか、お金に目配りできる者をパートナーに迎えることである。
起業する上で最も大切なことは「起業して何をしたいか」といわれている。サラリーマンがストレスから逃れたいという理由であれば、企業なんか考えずに転職で叶えられるかもしれない。地域や社会にこれまでにない物やサービスを提供することで役に立ちたいという強い思いが起業の原点になる。
ポジティブな発想は自身の言葉、表情、態度に現れる。ポジティブな思考に人は共感するが、ネガティブな思考には共感しない。自分の思いに共感してくれた人が顧客になってくれる。店舗やホームページをきれいにすれば、初めてのお客は来るかもしれないが、リピーターにはならない。リピーターが新たなお客を紹介したくなるようにならなければ、継続事業にならない。よって事業を継続するには、起業家自身を常に鍛えると共に驕ることなく細心の注意を払い続けることが必要だと思う。
起業してちょうど20年が経過した。過ぎた月日はあまりにも早く、振り返れば何とか20年やってきたところである。その間何度となく事業計画を立ててみたが、実現できたものもあればできないものもある。
想定外の事象が発生し、計画を変更しなければならないこともあった。それでも計画に上がらなかったものは成しうるはずもない。今一度起業時の原点に戻り計画を立て、ひとつでも多く叶えられるようにしたい。
長野日報土曜コラム平成25年7月27日掲載
有限会社テヅカプラニング 手塚英雄
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