プロフィール
プロメトリック
試験会場
営業時間
9:00~17:00
定休日 日曜日
年末年始、お盆、連休
information
メールマガジン
長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。
平成26年
平成27年
平成28年
平成29年
平成30年
令和元年からのコラム
平成31年
101. リスクは取るか避けるか
102. 幸せのために
103. 理をもって心の欲するままに従う
104. 理なる幸せを求める
105. リスクを取れる人が幸せになる
106. C調者はご用心
107. 幸せなお金の使い方
108. 退職者の資産運用
109. ワーカホリック
110. 幸せの勘所
111. お金基準の生活設計
112. 幸せ基準の投資戦略
平成27年
106 C調者はご用心
クラスの人気者
クラスの中には必ず一人や二人は調子者がいる。必ずしも成績が優秀とはいえないが、中の上くらいだろうか。授業中は突然思いついたままを質問するので、授業の進行を妨げることもある。比較的感性が豊かで要領も良いが、その場の空気を理解しないことがある。
文化祭などクラス対抗で出し物を企画する際は中心的な存在になる。全員の意見を聞いてまとめるより自分のアイデアを押し通そうとする。熱心にアイデアを語るのでクラスもいつの間にかそのアイデアに従ってしまう。
時に自分のアイデアが認められないと、言われたこと以外は手を出そうとしない。協調性にやや欠陥があるように思われるが、おだてられると調子に乗り夢中になって取り組む。
また調子に乗りはしゃぎすぎて先生から注意を受けるが、その場限りで心から反省する様子は見られず、しばらくするとまたいつもの調子に戻ってしまう。こんな子は女子より男子生徒に多いかもしれない。
本人の悪気のない言動で相手を傷つけても、相手の傷ついたことも感じていない。大きくはみ出さないが、ちょっと変わったタイプで一目置かれている。多少軽率なところはあるがクラスの人気者である。
このような性格は大人になっても大きく変化することはない。自制が効くようになるか、上司や先輩が上手に導けば、素晴らしい成果を残すかもしれない。
調子者はリスクを恐れない
人は環境の変化をとかく嫌う傾向がある。慣れ親しんだ職場や居住地が変われば、新たな人間関係を築かなければならない。これまでと異なる生活スタイルに馴染もうとすればストレスが生ずる。
一方調子者は変化を恐れないというよりは変化を好む傾向がある。いつまでも同じ仕事、同じ仲間、同じ生活スタイルでは退屈に感ずる。
新しい事に取り組み始めた頃は新鮮で知らないことばかりなので夢中になるが、しばらくして要領を得てしまえば繰り返しになるので関心が薄れる。飽きっぽい性格かもしれないが、このようなタイプは転機を好機と捉える事ができる。
また他人からの期待が大きければ大きいほど人一倍頑張る習性がある。自分の仕事に夢中になりながらも他人の目は気になるようだ。短所を修正させるより長所を伸ばすように仕向けたほうが調子者には適した指導法と思われる。
リスクを恐れない、期待に応えようとする習性を欲求にあてはめると、他人からの期待は賞賛の欲求にあたり、知らないことを理解しようと夢中になるのは自己実現欲求に結びつく。
5 段階ある欲求のうち高次の欲求が強く、変化することにためらいより新たな満足を獲得し続けることに喜びや幸福を感ずる者かもしれない。
投資と仕事のリスク
投資にはリスクはつきものである。リスクを恐れないリスク愛好家はよりリスクの高いほうへ舵を切っていく。株式でいうならば、国内株式より海外株式のほうがリスクが高い。それは国内の景気、金利、雇用、企業情報等は日常のニュースで取り上げられる。
一方海外の情報はニュースで取り上げられることは少なく、更に為替リスクが加わる。先進国ならまだしも発展途上国になると大きな事件や災害が発生したときくらいしか話題にならない。こんなニュースが届いたときには既に現地の株式市場には織り込まれているので、時を得た機敏な対応は取れない。
更にリスクを大きく取った取引といえばレバレッジを効かした信用取引などがある。一般に投資金額 100万円で 1銘柄に投資して、その企業が倒産したら 100万円の損失が発生する。最大損失額は投資金額と同等の 100 万円である。
レバレッジを効かした取引とは投資金額 100 万円の他に 200 万円を借りて 300 万円を投資する方法である。レバレッジ比率が 3 倍である。よって投資先企業が倒産した場合は投資元本の 100 万円の損失にとどまらず、追加して200 万円の損失を埋めなければならないことになる。
レバレッジとは「てこ」の意味であり、信用取引以外にもFX取引や金融機関から融資を受けた不動産取引もレバ
レッジが効いた投資といえる。
一方利益が出る際はレバレッジが効いた分大きな利益を得ることができる。レバレッジ比率が大きくなればなるほどギャンブル性が高くなっていく。
サラリーマンの最大のリスクはリストラ等退職になるかもしれない。失業保険があっても期間が限られ、再就職となればこれまでの条件より下がる可能性が高い。
まして起業となれば更にリスクは高くなる。サラリーマンは働いた分給与が支払われるが、自営業者になればどんなに働いても製品やサービスが買ってもらえなければ売上にならない。
多少の売上があっても在庫や人件費、その他経費が大きければ利益は出てこない。まさに起業はFX取引レバレッジ比率 25 倍以上かもしれない。金融市場は永年証券アナリストやファンドマネージャーを勤めた人でも長期の相場変動を予測するのは困難であるといっている。相場は長い目で見れば上がり過ぎれば下がり、下がり過ぎればまた上がることを繰り返すようだ。
ところが起業の場合、これから行おうとしている仕事と類似の仕事は既に誰かが行っている。既に行っている人の話を聞くことができれば新たな事業の勘所がつかめリスクを低減することができる。
既に事業を行っている人はライバルでもあるがパートナーにも成り得る。パートナーが多ければ多いほど自分が経験しないことを疑似体験することが多くなる。これは新たに事業を始める上で失敗するリスクを低くすることになる。
新規参入者が事業計画を立てると、売上が右肩上がりで増加する強気の計画になりがちである。実際には想定外の出来事はいくらでも発生する。在庫や人件費等経費を初めから借金して増やすことはレバレッジ比率を高めた投資と同様である。
子供と同様に小さく産んで大きく育てるのが事業である。事業は単年度で終わることなく継続するものであるから常に状況確認を必要とする。
予定した取引先の数や売上高に対する実績、もし乖離しているならばその原因、当初の計画に近づけ
るための対策などPDCAのサイクルを回さなければ失敗リスクは下げられない。
調子者は失敗から学ぶ
調子者はリスクを恐れず好んで知らない世界へ飛び込んでいく。当然のことながら傷つき失敗を経験する。
気安く引き受けた仕事が納期までに仕上がらなければ相手に迷惑をかける。しかも遅れることが分かった時点で連絡や相談を一切しなければ、おそらくその相手から信用を失い、二度と注文が来ないだろう。
信用を築くには相当の努力と時間がかかるが、失うのは一瞬のうっかり事や失言である。何度か痛い目にあえば徐々に学習するだろう。
しかし時間が経つと痛みや失敗の記憶は薄れていく。またいくつかの成功を重ねると有頂天になり更に大きなリスクを取ろうとする。宝くじが当たった者はさらに大儲けをしようとして借金をして宝くじを購入する。自分には幸運の女神がついていると何の根拠もなく勝手に信じている。よって 5 年以内に自己破産するといわれている。
リスクを取ることは自らの幸福度を高めることにつながるが、同時に失敗に伴う損失を被る危険性がある。
子供の頃の損失は先生から注意を受けるくらいで済むが、大人になってからは抱えるものが多いため損失の痛みは計り知れない。
その場の勢いだけでリスクを取りに行くのではなく、リスクを客観的に測定してから取りに行くのがよいだろう。
長野日報土曜コラム 平成 27 年 6 月 27 日掲載
有限会社テヅカプラニング 手塚英雄
有限会社テヅカプラニング 〒396-0013 長野県伊那市下新田3110-4 TEL0265-72-1846 FAX0265-74-7722
Copyright(C) Tezuka Planning Corporation. All Rights Reserved