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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。
平成26年
平成27年
平成28年
平成29年
平成30年
令和元年からのコラム
平成31年
17. お金を貯める術
18. 本当に投資信託は良いのか
19. 株式投資はこんなもの
20. もし事故が起きたら
21. 自動車保険料を安くするには
23. 家庭における金銭教育
24. 中途退職者のライフプラン
25. 親から子に伝えたい資産設計
26. FPに相談する
27. FP講座
28. ライフデザイン
平成20年
23 家庭における金銭教育
学校における金銭教育
小中高校教育は大学受験のための教育を前提とし、生きるための教育はあまり行なわれていないように思えます。私たちが生きていくためには学校で何を学び、どのような職業に就くか、社会にどのように活かしていくかは大切な選択ですが、併せてどのように生きていくか、どのようにお金と付き合っていくかは学校教育では行なわれていません。
お金は生きて行く上で便利でかつ必要な道具です。お金と上手に付き合えれば人生は明るく豊かに過ごせますが、付き合い方を誤れば人生を台無しにすることにもなります。英語の読み書きが出来なくても国内で生活するにはほとんど困りませんが、お金に関する読み書き力(金融知力)は生きる上で必須となります。
学校で学ぶそれぞれの科目を通じてお金を感じられるところはあります。
算数によりお金の計算を行い、地理を通じて各国が使用している通貨を知り、歴史を通じてお金への欲望から戦争が始まり、お金をもって償うなどは知ることが出来ます。また最近課外授業で金銭教育をされるところもありますが、受験勉強の息抜きのように見えます。
社会ではお金に関することばかり
一旦社会に出ますと会社では常に売上高、利益、効率を求められます。企業の目的は永続的に存続することが求められますので、利益が必要になります。80円で仕入れて経費を上乗せして100円で販売して利益を確保します。資本主義社会では利益を追求することを是とし、企業が成長し社会も拡大していきます。
家から独立し会社に勤務して給与をもらえば税金、社会保険料等は源泉徴収されます。給与の支払いは振込で行なわれるので、銀行預金口座が必要になります。お金を下ろすにはATM の操作を知らなければなりません。
アパートを借りるには賃貸借契約書に署名が必要であり、保証人も必要になります。借りる前に重要事項を説明され、その意味を理解しなければなりません。家賃のほかに敷金や礼金も必要になるでしょう。
また火災保険が義務付けられていれば、何のため、どんなときに補償されるのかも知っておく必要があります。職場では若いうちに加入した方が安いということで生命保険に勧誘されることもあるでしょう。
社会人として最初の大きな買い物は自動車でしょうか。入社したばかりの者がまとまったお金が無ければ、ローンを利用するでしょう。ローンには金利が設定されていますので、金利の大小により返済金額が変わってきます。ローンはお金が無くても品物を得る事が出来る便利な仕組です。
自動車を入手すれば保険が必要になりますが、若年者の保険料は驚くほど高いものです。果たして予算の中に保険料まで入っているでしょうか。自賠責保険に加入したのに任意保険にも加入しなければならないのは無駄に感じることはないでしょうか。
ローンと同様にカードで買い物をすれば、預金口座から自動的に引き落とされます。サインをすれば欲しいものがすぐ手に入るので、これは便利な仕組です。その際支払は一括か分割かを尋ねられますが、残高が少なければ金利のある分割を選択するかもしれません。さらにカードは品物を購入できるだけでなく、キャッシングというお金を生み出す仕組もついています。急にお金が必要になりますといつでも現金を入手できるのです。
親も自信を持って教えられない
子供がもらったお年玉を取り上げて子供のために使うか子供名義で預金をする。子供にお金を持たせると何か余計なものに使ってしまうので心配である。子供は学校の勉強だけを一生懸命していれば良く、お金の心配はしなくて良い、お金のことは親に任せれば何とかすると思い込んでいる親がいます。
それでは子供は何か欲しいと言えば、何でも親は買ってくれるものだと思い込みます。欲しいと言っただけでは買ってもらえなくなると、今度は必要性を訴えるか、友達全員が持っているので持っていないと仲間外れになってしまうと表現を変えてきます。
買えないのは親の収入が少ないからと思われるのは寂しいので、子供の要求には無理をしてでも応えてしまうものです。夫婦共働きであれば十分に子供の相手をする時間がないので、せめて子供の要求することは叶えてあげようと努力します。
親の感覚の中にお金のことを細かくいうのは卑しく下品であると思われています。貧しくても清く正しいのが美しいと思われています。お金持ちは人を騙したり、悪知恵を使って儲けているなどと勝手に思い込んでいます。そんな象徴でもあるお金はどこか危険で恐ろしさを持っているので、子供に近づけさせられないと思い込んでいるのでしょうか。
親自身は自分の経験を通じてお金を理解していますが、立場が違う子供にはお金のことをうまく伝えられません。結果として消費者金融は怖い、株式は博打である、保険など充てにできないなど社会生活の不信感を煽るだけになっています。自身にお金との付き合う基準を持ち合わせていないので、周囲の人の基準を容易に受け入れるか、メディアの報じる平均値を鵜呑みにしてしまうのです。
家庭における金銭教育
金銭教育は学校で取り上げられないならば、家庭で教えていくしかありません。いきなり株式投資や保険の話をしようとしても受け入れらないでしょう。時間をかけてじっくり金銭教育をするにはまずお金に触れることから始めましょう。
現在日本におけるお金は硬貨6 種類、紙幣は2,000 円札を含め4種類の合計10 種類あります。印刷物としては現在の印刷技術の粋を集めた素晴しいものです。このような高度の印刷を行なう理由の一つは偽造防止があります。何故偽造を防止しなければならないか、偽造したらどのような罪になるのか、その罰はどんなものかと思いを巡らせることで、お金に対する先入観は薄
れ、取扱いが変わってくるかもしれません。
次にお金の入口と出口を考えてみましょう。子供の元にやってくるお金はどうなっているか、お小遣いやお年玉、アルバイトが入口に当ります。出口を考えると自分の欲しいもの、必要なものになります。その中にはすぐ欲しいものと将来必要なものがあります。手元のお金以上のものが欲しければ、お金が貯まるまで我慢するか、誰かに頼んで購入してもらうかとなります。
お小遣いの先を考えてみますと親や祖父母からの提供となります。親や祖父母はどうやってそのお金を入手したのかを考えれば、親の仕事にも関心が湧いてきます。また欲しいからといってなんでもすぐに手に入れられなければ、優先順位を付けることになります。やがて本当に欲しいのか、必要なのか、無ければどうなるのかを考えれば忍耐を覚えることになります。
このようにお金の流れを子ども自身に結び付けるにはお小遣い帳をつけるのが良いでしょう。入ってくるお金と出て行くお金を捉えて、次に欲しいもの必要なものを書き出します。それらはいつ頃いくらするものなのか、他の店では幾らなのかを考えれば調査、研究、比較行動に広がります。初めは購入対象を欲しいものに限定しますが、やがて学校での必要品まで広げ、渡す金額を徐々に大きくしていきます。
お金を通じて社会の仕組も勉強できるでしょう。親の勤めにより会社から給与が支払われ、品物を得るためにお金を払い、税金等を払うことにより公共サービスが受けられます。全てお金を通じてギブ&テイクがなされています。
より多くのお金を得るためにはどうしたらよいかと考えれば、将来の職業選択につながります。職業選択はお金の多寡だけでは決められませんが、職業、役職によって得られる賃金の大小はあります。その職業に就くためにはどうすればよいかと考えれば、どんな学校に行き、どんな勉強をしなければならないかが具体化されます。
品物を売った店では得られたお金は品物の仕入れ、従業員の給与、電気水道代、税金等に分配されます。これは店の経営を表し、経費の流れ、利益の仕組につながります。税金等は国と地方で受け取りますが、医療、福祉、防衛、警察、教育、公共事業等公共サービスに使われます。
お小遣い帳の支出項目をさらに将来まで書き表すと高校、大学生活でかかるお金、社会人になって自動車や旅行などまとまった金額の項目が出てきます。予定に併せて貯めることになりますが、今度はどこで貯蓄するかによって貯まり方が異なることに気がつきます。
物は時間の経過とともに価値が減少していきますが、お金には利息がついて時とともに増えていきます。
金利とはどのようなものか、金利には単利と複利がありますがその貯蓄効果はどのように異なるのか。さらに元本が保証されている金融商品の金利と保証されていない商品の金利には差があります。
必要なものを購入する場合どうしてもお金が足りない場合には借りることがあります。お金を借りる場合にも金利が発生します。借りた元本に対してどのくらい利息を払わなければならないのか。お金を貯める場合は金利が味方になりますが、借りた場合には金利が敵に回ります。お金の借り方にもいくつか種類があり、銀行、カード、消費者金融等では金利に差があります。自分にとって有利な選択はどれかを考えることでそれぞれの実態に触れ、仕組を理解することが出来ます。
子供にお小遣い帳を付けさせることにより金銭教育に役立つことが分かりましたが、付けることはあくまで手段です。お小遣い帳に書かれたデータを基に何を伝えるかが大切です。子供にお小遣い帳を付けさせると同時に親も家計簿を付け、きちんとライフプランを立てましょう。家族の将来を子供と一緒に考えていくことが子供にとって最も身近な金銭教育になると思われます。
長野日報土曜コラム平成20年7月26日掲載
有限会社テヅカプラニング 手塚英雄
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