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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。
平成26年
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平成30年
令和元年からのコラム
平成31年
17. お金を貯める術
18. 本当に投資信託は良いのか
19. 株式投資はこんなもの
20. もし事故が起きたら
21. 自動車保険料を安くするには
23. 家庭における金銭教育
24. 中途退職者のライフプラン
25. 親から子に伝えたい資産設計
26. FPに相談する
27. FP講座
28. ライフデザイン
平成20年
28 ライフデザイン
ライフプランを立てると言われても
人が生活していく上でお金は必需品であることは誰もが知っています。人生を独身時代、養育時代、リタイヤ時代と分ければ、お金の貯め時と使い時があります。独身時代、養育時代のまだ子供が小さいうちは貯め時であり、やがて養育費が嵩んだり、住宅取得時、年金生活に入ったリタイヤ時代などはお金の使い時になるでしょう。
支出が収入を上回った場合は貯蓄を取り崩すかローンを使うことになるでしょうが、借りたお金には利息をつけて返さなければなりません。ローン返済のためにローンを繰り返し使用すればいつかは破綻することになります。このようにならないためにはライフプランが必要となります。ライフプランに基づいて収入、支出、貯蓄のバランスを取ります。
ライフプランは個人、家庭の夢や希望に基づいて作成されます。子供の養育計画として大学に行かせるのか行かせないのか、住宅は賃貸か持家か、いつ頃どこに取得するのか等がライフプランの基本となるでしょう。またこれらの目標に向かってどのようにいつまでにいくら貯蓄するか、リスクは取れるのか、万一のけがや病気にどうやって備えるかなどもライフプランに基づいて決定されるでしょう。
以前ライフプランをテーマにしたセミナー終了後参加者の女性から、「セミナーの内容は良く分かったし、ライフプランの重要性も理解できた。でもライフプランを立てる前に今の仕事を続けるのか、変えるのか、結婚するのかしないのかを決めるのが優先だ。」と感想が出ました。確かに将来すべきことが決まっていればライフプランは立てられますが、ライフプランを立てる前に誰とどこでどのように生きていくかという「ライフデザイン」を決めなければなりません。
ライフデザイン
将来の夢や希望を相談者に尋ねるとマイホーム、自動車など高い買い物を挙げる方がいます。さらに何故マイホームを取得したいかを尋ねると、現在の住宅は賃貸で将来自分の物として残らない。また、今の住まいは狭く、隣の音が聞こえたり、暑さ寒さを直接感じると言っていました。自動車も同様で最新の機能がないので、新たに購入したいと言っていました。このような要望は生活上の不満要因を取り除きたい意識が夢や希望になっています。人が五感で感じる不快から解放されたい欲求が基になっています。
人の夢や希望は満たしたい欲求の現われですから、人の欲求を考えてみますと「マズローの欲求5段階」があります。①生理的欲求は生命維持のための食欲・性欲・睡眠欲等の本能的・根源的な欲求②安全の欲求は衣類・住居など、安定・安全な状態を得ようとする欲求③親和(所属愛)の欲求は他人と関わりたい、他者と同じようにしたいなどの集団帰属の欲求④自我(自尊)の欲求は自分が集団から価値ある存在と認められ、尊敬されることを求める認知欲求⑤自己実現の欲求は自分の能力・可能性を発揮し、創作的活動や自己の成長を図りたいと思う欲求です。
これら欲求は低次のものが満たされると高次に移り、低次のものには関心がなくなると言われています。マイホームをこれに当てはめると五感に感じる不快さは生理的欲求になりますが、安定・安心と言う安全の欲求にも当てはまります。さらに会社の同僚が皆家を取得し、周囲から認められるような家を建てたい、大きな住宅ローンは自らに課した責任と捉えれば、高次の欲求に結びつくでしょう。捉える視点によって欲求段階は異なります。
ライフデザインは人の欲求と関連するところは大きいですが、自分勝手の欲求解消は夢や希望になりません。例えば、お金を稼ぐためには職に就かなければならないが、気に入った職に就けない、職場のストレスに耐えられない。結婚すれば人生の伴侶が得られるが、家同士の付き合いもあれば、お金がかかることが多い。老後は田舎で暮らしたいが、妻の同意も必要となるし、慣れない土地で医療、生活は不便そうだ。自分勝手の欲求は一時の満足は得られても、長期に渡る幸福は得られないでしょう。欲求を満たす行動が社会のルールやマナーに沿い、相手の立場を踏まえていることが必要です。
ライフデザインを決定する判断や行動は今すぐ行なわなくても良いかもしれません。明日でも来月でも来年でも良いかもしれません。誰かに催促されない限り、他人に迷惑をかけないならば、時を見てそのうちでも良いかもしれません。
しかし、そのうちそのうちと出来ない理由を繰り返すうちに何も出来ずに終わってしまいがちです。結局何もやらずに空しい人生に幕が下りて頭の上に淋しい墓標が立つことになれば、正に詩の一説になってしまいます。限りある人生で同じ時間をやり直すことは出来ませんので、今出来ることを精一杯行えるといいですね。
ライフプランに想定外はつきもの
人生はなかなか思い通りに行かないもので、いくら綿密にライフプランを立ててもそのとおりにいくことの方が少ないでしょう。確かに10年、20年前を振り返って今の自分の姿を想定できたかと思い起こせば、想定外の自分が今の姿でしょう。明日は明日の風が吹く、悪あがきは止めて自然に身を任せた方が気楽で人間らしいでしょう。そしていつかきっと王子様や青い鳥が現われて幸せを運んできてくれると思うようになるかもしれません。でも他人任せの人生は一時は楽のように思えますが、将来きっと大きなストレスを発声させるものです。
かつてライフプランを作成された方に久しぶりに合いました。その後会社の状況が悪化して退職し、居住先も就職先も変え、しばらくしてストレスから体調不良になり入院することになったと話してくれました。作成当時のライフプランから想定外の連続でしたねと話していたら、実はあのライフプランがとても役に立ったと話してくれました。
当時計画したことは思い通りに出来ずに退職前の収入が3分の1以下になるということは、今までどおりに支出していたら生活はできない。すぐに支出の見直しを行い、生活レベルを相当下げなければならないと思い実行した。残して継続するのも、止めることの出来るものがそのとき分かっていたので、大変役に立ったと話してくれました。
人生には想定外がつきものだからこそライフプランは有効と言えるのでしょう。ライフプランを立てることにより将来の夢や希望の計画とともに、現状をしっかり認識することに役立つことを改めて感じることが出来ました。一時的に想定外の出来事に遭遇した彼は、現在健康を回復し、新たなライフデザインの下でライフプラン実現に向けて頑張っている最中です。
オリジナルのライフデザイン
終身雇用、年功序列賃金が守られていた時代は5年後の自分の姿は5年先輩の姿を見れば、かなり正確に描くことが出来ました。このような時代は上司、先輩の言うことを忠実に守り真似ていればライフプランは達成できました。自らライフデザインなど描く必要はありません。
終身雇用が終わり、年功序列主義から成果主義へ、人並み、依存型から独自、自立、共生型ライフプランに移行している現在は先輩、上司の歩みを真似ても同様な結果は得られないでしょう。またそれが自分の望むライフデザインとは限りません。現在は自分が頑張っただけ報われるかもしれませんが、一方将来に対する指針は他人と異なり自ら立てなければなりません。リスクもリターンも自分に帰属するハイリスク・ハイリターン時代になったといえます。
ライフデザインを考える場合、家族に関する「ファミリーデザイン」、仕事に関する「キャリアデザイン」を考えます。ファミリーデザインはシングルか、DINKS、共働き、子供2 人程度の専業主婦、シングルマザー等があります。最近では晩婚化、非婚化、少子化傾向が現れていますが、大きな流れが必ずしも正しいとはいえません。
キャリアデザインは現在勤務する会社で昇進、もしくは転職、独立して起業、非正規従業員として働く等があります。平均寿命が伸びていますので、何歳まで働くかも考えなければなりません。このように多様なライフデザインが考えられますが、ライフデザインを描く上で「いきがい」「健康」「経済」のバランスを考えながら設計していくことが望まれます。「いきがい」を追求して転職ばかりを重ねると、スキルが磨かれませんので、「経済」が厳しくなります。一方「経済」のお金だけ追求すれば、金額の大小だけの判断基準しか持てなくなるかもしれません。仕事で無理が重なり寿命を縮める事はあってはならないことです。過去に引き返すことは出来ませんので限りある人生が世のため、人のため、家族のため、自分のためになるようなライフデザインを描きたいものです。
長野日報土曜コラム平成20年12月27日掲載
有限会社テヅカプラニング 手塚英雄
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