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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。

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FP技能士講座

 

FP技能士講座を担当して4年目になります。開講当初はFP3級技能士講座のみでしたが、受講者が3級に合格すると2級にもチャレンジする方が現れ、引き続き2級も担当することになりました。

FP資格は日本FP協会認定のCFP、AFPがありますが、2002年より「ファイナンシャルプランニング技能士」として新たに国家資格と認定されたことによりさらに注目されるようになりました。FP技能士は1級、2級、3級と3段階に分かれ、日本FP協会の2段階資格とは異なり、初心者向けの3級が追加されていま

す。

 

現在茅野、伊那、駒ヶ根、飯田地区で開講され、これまでにFP技能士講座を受講された方は300名を超えています。受講された方全員が受検されるわけではありませんが、9割くらいの方が受検され、FP3級における合格率は全国平均より学科、実技とも10ポイント以上上回る結果です。

 

FP技能士講座としては2級、3級が開講されていますが、2級合格者の中にはさらに1級を目指している方、AFPを取得してCFPを目指している方もいます。

 

実践FPセミナー

 

FP技能士講座は資格取得を講座の目的の大きな一つにして、FP6科目(ライフプランニング、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継)を3ヶ月にわたり学習していきます。しかし、FP6科目の学習だけでは実生活に活用するには不十分です。

 

ライフプランニングでキャッシュフロー表を学んでも自ら作成してみないとキャッシュフロー表の意義が見えてきません。将来の夢や希望を拾い出しても、全てが叶えられるわけではありません。リスク管理で保険を学んでも自らの保険の見直しにはライフイベントと保険商品知識が必要になります。また、資産運用を行なおうと思っても営業担当者からは自社の推薦商品を薦められるので、金融商品取得に躊躇してしまいます。

 

ファイナンシャルプランニングは知識だけでなく私たちの毎日の生活が明るく豊かになるための「知恵」が含まれています。これは自らの生活に当てはめることにより、知識が知恵に変換されます。実践FPセミナーは例外的な事例を追求するのではなく、身近で誰もが関連する事例を取り上げています。

 

現在取り入れているテーマは①ライフプランニングとは②キャッシュフロー表の作り方③生命保険の見直し④金融資産設計⑤金融資産取引の実践⑤建てる建てない賃貸住宅⑥相続、その前に知っておきたいこと等を取り上げています。このセミナーはFP受講者の継続教育とともに一般の方にも参加してもらえるようにテーマを選定しています。

 

講座参加者

 

すでに多くの方が受講されていますが、参加されている方のうち男性44%女性56%で女性の方が僅かに多い状態です。受講者年齢は19歳から78歳までの方がいます。78歳の方は資格取得が目的ではなく、脳トレーニングの為に参加したと言っていました。すでに相当の知識と経験を持っている方でしたが、生涯学習を怠ることなく常に新しいものを吸収しようという姿勢にはこちらが勉強になりました。

 

FP技能士資格を銀行、保険、証券会社等金融機関ではスキルアップとして推奨しているので、業務に関連する方の参加が多いかと思えばそうでもありません。サラリーマンでは製造業に携わる方が多いように思われます。社内で総務や経理に関る方は従業員から何かと相談される機会が多く、基本的なところを勉強したいとして参加されています。

 

女性の参加動機に多く見られるのは、生活設計を立てたい、保険の見直しをしたいです。家計を預かる立場から当然かもしれませんが、このような方はすでに日常家計簿を付けられていて金銭感覚を持っています。だからこそもっと無駄なく家計を切り盛りしたいという要望が出てくるのでしょう。

 

一方男性の関心は資産運用です。貯蓄から投資へと言われ株式や投資信託を購入してみても、良く分からないので営業担当者が言われるがままで、儲かることもあれば損をすることもある。これでは決して資産運用とはいえないと感じていることでしょう。

 

男女とも30歳から40歳代の方が多いのですが、若い方も結構参加されています。ある女性の方はこれから結婚するが、お金のこと、将来のイベントにどのくらいのお金がかかるか、どのように準備するかを学びたいと言っていました。かつてのお茶、お花に代わってFPが花嫁修業の一つに取り入れられる時代になったのかもしれません。

 

またある建設会社では従業員にFP資格取得と社員教育を兼ねて参加させています。会社では家を建てるということがお客様の立場でどういうことかを従業員に伝えたいと言っていました。また、従業員にとって収入の源泉は会社であるので、自分の生活を見つめ、高めることは仕事、スキル、キャリアを上げることでもあるので、従業員にとっても会社にとっても望むところであると言っていました。

 

なるほどと感心させられながら、さらに社員の横領などの事故予防に繋がるので企業のリスクマネジメントであるとも言っていました。さすが経営者だなと改めて感心させられました。

 

もっと早くに学んでおけば良かった

 

3 ヶ月間のFP技能士講座終了時に講座に対するアンケートをとります。多くの方が共通して述べることに「もっと早くに学んでおけば良かった」です。FP講座が実生活に関連深いことからこのような感想が出るのでしょうが、おそらくお金のことで過去において失敗された経験があると思われます。

 

社会保障における各種給付金は申請しなければもらえない。言われるがままに加入した保険は多くの無駄を含んでいた。毎月の返済額だけでローンを組んだら、他の支出が増えて窮屈な生活が強いられた。

 

親が何とかしてくれているだろうと思っていたが、相続が発生したら兄弟の仲が悪くなった。投資のつもりで株式投資を始めたら、いつしか資産が半分になっていた。

 

歳を経るにつれ人生経験は増えていきます。その経験が全てうまくいっている方は少ないでしょう。失敗と反省の連続ではないでしょうか。お金はライフイベントに付きものですから、もっとこうしておけば得られるお金が増えたし、支払うお金を少なくすることが出来たと後になって気付くことばかりです。

 

金融知力は社会人必修科目

 

学校教育ではお金のことを学ぶことはほとんどありません。学習要領に従って勉強し、偏差値を高めれば良い学校に入学でき、やがて良い会社に就職できれば高収入が得られるので、学校の勉強をしていれば将来のお金の心配は不要です。またお金のことは全て親任せで子供は心配することではない。

 

そのゆえ親は一生懸命働きお金を稼ぎ自らのあらゆるものを犠牲にしながら貯めたお金を子のために遣う。子はお金がなくなったら親に頼めばいくらでも与えてくれるか誰かが助けてくれると思うかもしれません。

 

社会に入ればお金を多く保有している人が勝組で少ない人が負組のように思われています。多くのお金を保有することはその人の人生を豊かにするチャンスは多くなりますが、チャンスを活かしきれる人は少ないかもしれません。

 

企業は存続するために毎年利益を出し続けなければならないので、売上高、利益、費用等金銭至上主義になるでしょう。偏差値至上主義で育った子供たちはお金という魔物に翻弄されずにいられるのでしょうか。教えなければならない親も教師もそのような教育は受けていません。社会にはお金のことをとやかく言うのは卑しくもあり格好が悪いと思われています。

 

お金を得ることを安易に行なおうとすれば犯罪につながることもあります。世間の事故や事件にはお金が原因になっていることが多いと思われます。本来人の生活に便利な道具であるはずのお金に翻弄され、人生でもっと大切なものを失ってしまうのです。

 

FP講座に若い方も参加されています。先輩たちは多くの失敗の中からお金との付き合い方を学んできましたが、時には一つの失敗で二度と立ち上がれないほどの衝撃となり人生を大きく変えることになるかもしれません。失敗の経験が少ない若い方が学ぶことはとても有意義です。多様化する今日お金に関して自分自身の物差しを持つことは長い人生を乗り切るために大切なことと思います。

 

長野日報土曜コラム平成20年11月22日掲載

有限会社テヅカプラニング 手塚英雄

 

27 FP講座

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