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108 退職者の資産運用

投資家デビュー

 

個人の金融資産 1,400 兆円の 60%を 60 歳以上の高齢者が保有している。その金融資産の多くは銀行やゆうちょなどに安全資産として保有され、株式や債券などリスク商品は 10~15%といわれている。

かつての退職者は豊富な年金に加え税制面では老年者控除やマル優が65歳以上の高齢者に適用されていたが現在は既に廃止され、高齢者は経済的弱者から金持ちと見られるようになった。

 

今後更に年金額は削減が予想されるので、退職者は貯蓄を取り崩しながら老後生活を送ることになるだろう。世界一の平均寿命は更新されつつあるので、長寿に伴い将来に備えるお金は多ければ多いほうが安心である。

現役時代は毎月の給料があり昇給もあったが、これからは長きに渡る人生を限られた年金収入で遣り繰りしなければならない。

これまで投資とはほとんど縁のないサラリーマン生活であったが、退職を機に退職金を元手に運用を始める人が増えてくるだろう。

 

かつての投資風景といえば証券会社の株価ボードを眺めながら銘柄を選定する光景であった。しかし現在は株価ボードを設置している証券会社はほとんどなく、自宅でインターネットを通じて取引する形態に変わった。

 

退職すれば自由時間はたっぷりある。サラリーマンであったなら元勤務していた会社の業界は多少明るい。資産の増加を必要とし、投資にかける時間とお金があれば投資家デビューの条件は整った。十分条件として当人が金は天下の回り物と受け止め何とかなるさなどと考えず、パソコンを扱うことを面倒くさがらなければ、投資家デビューもやぶさかではない。

 

銀行やゆうちょにお金を預ける預金者に対して、価格が変動するリスク商品の株式や投資信託、債券等に投資する人を投資家という。投資を大げさに捉える必要はなく、定期預金を投資信託に変更するだけの簡単な作業である。

 

ポートフォリオ

 

投資とか資産の運用といえば必ずポートフォリオという言葉が出てくる。ポートフォリオは本来紙ばさみのことをいうが、この紙ばさみに資産明細を入れたことから資産の組み合わせのことをポートフォリオというようになった。

 

預貯金であれば金利がどんなに小さかろうと元本が割れることはない。毎月 1 万円積立れば 1 年後には 12 万円と僅かな利息が得られる。ところが価格が変動するリスク商品に毎月 1 万円投資すれば1年後に12万円をはるかに超える場合もあれば下回る場合もある。価格変動は景気、金利、為替などが表す経済状況や投資対象の実態により変動する。

自民党に政権交代してから株価は上昇を続け、当時と比べると年間 10~20%の利回りを達成した銘柄はいくつもあるだろう。

資産の組み合わせであるポートフォリオを考える背景として、ひとつの資産だけでは変動する可能性が高いといわれている。長く続いたデフレ時代には物の価格は下落が続いた。物価、株価、不動産などは時間が経てば更に安くなる傾向であった。預貯金は利息が付かなくても額面は変わらず下落することはなかった。

 

一方インフレ時代は物の価格は上昇していくので、相対的に預貯金の価値が下落していく。このようにひとつの資産だけでは将来の変動であるリスクに対応できない。そこで資産の組み合わせポートフォリオの形成が求められる。

景気の上昇に伴い金利が上昇すれば株価は上昇し、債券の価格は下落するという傾向がある。株価と債券価格は反比例の関係にある。そこで株式と債券を組み合わせることで景気の下落や上昇に対応することが出来る。

 

更に海外の情勢を考慮すると、国内株式、国内債券、海外株式、海外債券と 4 つの組み合わせが出来る。一つの資産にまとめるより分散することによりリスクを低減することができる。これがポートフォリオを組み合わせる最大の目的である。

 

投資は俯瞰と忍耐

 

国内株式、国内債券、海外株式、海外債券と 4 つの資産に応じた投資信託を選択することは比較的容易である。ただし委託会社、証券会社、株式や債券のジャンル、分配割合、手数料等で迷い始めると足が止まってしまう。

仮に 4つの資産を均等に投資した場合、現在のように日経平均株価が緩やかに上昇していると日本株式、海外株式も上昇する。現在グローバル化が進行し海外株式が上昇すれば日本株式も上昇する連動性が見られる。

 

そんな状態で 1 年が経過すれば日本、海外株式は資産が増えるが、債券はほとんど変化がみられない。ポートフォリオの投資割合に戻すことをリバランスをとるというが、これは儲かっている株式を売って儲けの少ない債券を買い増すことになる。普通の人であれば欲があるので、はたして儲けの少ない債券に投資することが出来るだろうか。

 

2008 年に発生したリーマンショックでは株価は 40%以上下落した。リバランスを取るならば現状維持の債券を売って株式に注ぎ込むことになる。更に下落が進行すると思われる株式に投資することは相当勇気が必要になる。

永年かかって手にした退職金が短期間で 40%も目減りして果たして耐えられるだろうか。普通ならばパニック状態に陥り、商品を勧めた担当者に少しでも責任を取らせたいと思うだろう。

 

上昇機運の場合は年間 20%の利回りの株式に対して、0.5%の利回りの債券にお金を投じるのは損をしている気分になるものである。債券を売って株式に追加投資したくなっても不思議ではない。

景気の波は短期、中期、長期と分かれているが、いつどのような波がやってくるか分からない。専門家でも後付であの時こうだったと解説している。波を感じるには投資の海に身を浸していなければ感じられない。世間が騒ぎ始めた頃には波は過ぎ去っていることもある。

 

大切な資産を常に投資の海に浸しておくことは、自分の資産であっても自分で自由に使えない資産のように思えてくる。

 

目的の再認識

 

リスク商品に投資することは誰でも簡単にすることが出来る。預貯金と異なることは投資した額が日々変動することである。誰でも資産が増えれば嬉しいが、減れば悔しくやがて自分だけでは受け止めきれなくなることもある。

投資というとギャンブルと同等に思う人がいるため、他人に相談することなく密かに家族にも知られないように取引をする人もいるだろう。

 

資産が増えたり減ったりすることはその時の景気によることが大きい。

けっして自分の選択によるばかりではない。

さらにやがて相続を迎える際には自分の資産は全て分割の対象になる。家族である相続人がその存在を知らなければ分割の対象にもならない。そのためには毎年資産明細を記して限られた者には伝えておくのが良いだろう。

 

リスク商品は上がることもあれば下がることもある。自分の資産の全てを投じることだけは避けたい。当初の目的が退職金を用いて老後生活の充実であるならば、どんなに上がり相場であっても目的に応じて現金化することを忘れてはならない。

退職後は医療費や冠婚葬祭、子供の支援、リフォーム等急にまとまったお金が必要になることがある。お金の使用目的を認識しながら、風通しの良い環境でお金を育みたいものだ。

 

長野日報土曜コラム 平成 27 年 8 月 22 日掲載

有限会社テヅカプラニング 手塚英雄

 

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