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109 ワーカホリック

労働災害の保障

 

労災保険が適用になるケースは業務上と通勤災害に労働者が負傷や疾病にかかった場合に適用される。労働者は正社員に限らずパート、アルバイト等賃金を支給されている者は全てが対象になる。

労災保険料は全額事業主負担であり、加入手続きの有無を問わず、働き始めたときから補償の対象となる。労災保険では療養、障害、死亡、葬祭、介護等の要件に該当すれば年金もしくは一時金が支給される。

 

例えば年収 365 万円のサラリーマンである夫が労災事故で死亡すると、およそ基礎日額 1 万円で遺族には遺族年金が支給される。遺族が妻と子一人であれば基礎日額の 201 日分より 201 万円が年金で 300万円が一時金で支給される。

さらに夫がサラリーマンで勤続 20 年間の平均年収を 300 万円とすれば社会保険の遺族厚生年金がおよそ 31 万円、国民年金の遺族基礎年金がおよそ 100 万円、合わせて 131 万円が支給される。ただし、遺族厚生年金が支給される場合は労災の遺族年金は 16%カットされ 169 万円になるので合計すると 300万円ほどが支給される。

 

夫の年収が 365 万円に対して労災で夫が亡くなれば 300 万円が支給されるので、年金だけで遺族が生活することは出来るかもしれない。しかし、この金額が永遠に支給されるわけではなく子が 18 歳になれば労災の遺族年金及び国民年金の遺族基礎年金は終了する。

 

労災事故であれば 300 万円であるが、労災が認められなければ 131 万円となり支給額が半分以下になってしまう。

労災事故と認められるか否かで遺族の生活は大きく変わってくる。

 

KAROSHI(過労死)

 

長期間に渡り長時間勤務が続けば普通の人ならばおかしくなっても不思議ではない。仕事を終えて家に帰り僅かな睡眠をとってはまた職場に向かう。何日も何ヶ月もこんな生活をしていれば、将来の希望を見失い家族との会話もなくなり、なんらかの体調不良が生じる。体調不良はやがてうつ病に発展し、最悪のケースは自ら命を絶つこともあるかもしれない。

 

労災保険では自殺は業務と相当の因果関係がないと労災事故と認められない。過労死や過労自殺を認める要件は細かく決められている。うつ病状態になればとっさの衝動から自ら命を絶つこともある。

本来普通の人は簡単に自殺をしたりしない。人も動物として生き続けようとする遺伝子が組み込まれている。自殺を図るのは現状があまりにも苦しくて仕方がない場合や社会が自分の存在を必要としなくなったと思う場合などである。

 

労災の認定は行政で行うが、会社での勤務実態を遺族がどこまで把握しているだろうか。会社側は労災を積極的に認めるような情報公開をしてくれるだろうか。会社は社会的体裁を考え遺族と穏便に事を済まそうとしないだろうか。

自殺した本人は現状の苦しみから解放されたかもしれないが、残された遺族は自殺に至った原因も分からないまま自殺したという事実を背負ってひっそりと生き続けなければならない。

 

過労死は英語で表記すると「Karoshi」であり、現在では Karoshi は世界共通で認識されている。海外では生きるために仕事をしているので、事故で命を落とすことはあっても、自ら命を絶つことは考えられないそうだ。

Karoshi が世界で共通に使われていることは恥ずかしいことではあるが、海外では日本固有の出来事と受け止めているかもしれない。

 

ワーカホリック(仕事中毒)

 

日本では儒教の教えが根付いているせいか他人に迷惑をかけたくない、迷惑をかけることは恥と受け止められている。仕事は一人で完結することはほとんどなく、流れの中で仕事が遂行されるので、自分の仕事の前にも後にも人がいる。

更に多くの場合仕事は単独ではなくチームで行われる。自分の仕事が遅れればチームのメンバーに迷惑をかける。メンバーは仲間であるので常に助け合っている仲である。仲間が頑張っているのに自分ひとりだけ休むことはなかなか出来ない。

 

チームのリーダーは苦しいことがあってもチームで力を合わせ乗り越えなければならないと考えている。

チームの結束力を高め一丸となって難局に立ち向かおうと士気を高める。個人がばらばらでなく全員がひとつの方向に向かって進む姿は美しく、滅私奉公の精神である。

 

仕事は常に苦しいばかりではない。自分の企画が採用され実行責任者になれば、認められた喜びは計り知れない。自ら企画した仕事であれば昼夜を問わず惜しみない努力をするだろう。夢中になっているときは苦しさを忘れ快感を得ている。

 

仕事は自分にとって生きるための手段ではなく、正に生き甲斐そのものである。多少苦しくてもリーダーからの励ましやメンバー間の結束力があれば、自分だけが手を抜くことは出来ない。

しかし人の体力は個人差があり、長期間労働に耐えられる人ばかりではない。真面目で几帳面で責任感が強い人がうつ病になり自殺を図る場合が多い。

 

ワーカホリック(仕事中毒)は決して日本だけではないが、短期的に見ればチーム一丸となり事業計画を完遂しようとする姿は生産性の向上に有効である。しかしこのような状態が慢性化すれば、自分自身を壊し、家族を悲しませることにでもなれば、長期的には個人ばかりではなく会社にとっても望ましくない。

 

視野を広くしてバランスを保つ

 

欧米では「人はまず家庭にあり、家族を養うために仕事をする」という個人主義が定着している。また仕事は既に人が持つ大罪の償いという宗教観も日本とは異なる。

米国人は日本人より更にハードな仕事を行うともいわれるが、このような人はエグゼクティブという少数で長時間労働を行う一般の日本人をはるかに超える報酬を得ている人々といわれる。

 

仕事に夢中になることは決して悪いことではない。仕事を通じたサービスや商品が顧客や社会に役立っている。仕事に夢中になっている自分自身は幸せを感じている。

しかし生活のほとんどが仕事一色になれば、話す相手は職場の仲間に限られる。大きな仕事になればその色合いは

ますます濃くなり、非常に狭い環境の中で生活することになる。そしていつの間にかバランスを失い自分自身が壊れてしまう。

 

自分を壊さないためには視野を広く持ちバランスを保つ必要がある。限られた職場の仲間と接するだけでなく、家族、友人・知人、地域等とのコミュニケーションがバランスを保つために有効になる。

 

家族が自分に求めていることを知れば、自分にしか出来ないことに気付くだろう。友人・知人と話せば互いの職場の状況を知ることが出来るし、相談に乗ってくれるかもしれない。友人・知人が趣味を通じた仲間であれば一時仕事を忘れ夢中になることが出来る。多くの人と交わることで本来の仕事に対する考え方が再構築されるだろう。

 

仕事はお金を生み出し、そのお金で生活している。生活するためにはお金は必要であるが、自分を壊してまでお金を生み出そうとするならば本末転倒である。

人が生まれてから死ぬまで約 90 年、初めの 20 年は親の下で過ごし、社会人に成り 40 年仕事と向き合い、その後にまだ 30 年くらい残されている。仕事が出来る人は尊敬できるが、仕事しかない人は尊敬に値するだろうか。

 

宗教観は違っても欧米のように楽天的に生活するのも悪くはない。気の合う仲間たちと飲んで食べて歌って踊る姿はいかにも楽しそうである。

 

長野日報土曜コラム 平成 27 年 9 月 26 日掲載

有限会社テヅカプラニング 手塚英雄

 

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