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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。
平成26年
平成27年
平成28年
平成29年
平成30年
令和元年からのコラム
平成31年
28. ライフデザイン
29. FPビジネス
30. 新社会人の金融知力
31. 家の取得
32. キャッシュフロー表から始めよう
33. FPワークショップ
34. 本当の保険の見直し
35. FP試験に合格する
37. お金と教育
38. 老後の生活は株価次第
39. 賢く備える老後資金
40. FPとの関わり
平成21年
全てが必然
日本経済新聞の「私の履歴書」では毎月各界の著名人が1ヶ月に渡り自らの生涯を振り返っている。その中には筆者自らが関った多くの人が登場し、それらの人々との出会いに感謝の気持ちが込められている。またそれらの人々との出会いがその後の人生に大きく影響が及んでいる。
企業の会長役をされている方はそれ以前に社長、取締役を経験されている場合が多い。筆者の言葉にどうして取締役から社長になったかを自分の言葉で表している方は少なく、偶然に時の流れの中で然に出世したように描かれているが、実際には社長になりたいと他の人より強い思いがあったからこそ現在があったに違いない。そのように考えると世の中に全くの偶然は無いのかもしれない。誰かの強い思いが力となって未来が築かれているのかもしれない。
不幸な事故も偶然の出来事と思われているが、例えば労働災害において一つの死亡事故の背景に30の傷害事故があり、そのまた背景に300 の危険事例があるといわれている。偶然と思われる事故も起こるべくして起きているのかもしれない。将来発生する出来事は現在の状況や思いの中にすでに芽生えているかもしれない。そしてその思いが現実のもに変わるのは思いが強ければ強いほど発生確率が高まるのだろう。
そう言えば高校野球やその他試合で勝者のコメントに勝ちたいと思う気持ちが相手より少しだけ勝っていたから勝てたのだろうと言われることは聞いたことがあるだろう。人の思いの強さが行動を変え、それに共感した人が力を貸してくれる。一人の力では決して成しえないことでも初めは一人の思いから始まるのかもしれない。
ワークショップでシミュレーション
人生には3 大資金といわれる「養育」「住宅」「老後」がある。子供には高等教育を学ばせたい、住宅は1億円以上の豪邸に住みさらに別荘も持ちたい、老後は最近流行の田舎暮らしか海外移住もしてみたい。このような思いは誰もが一度は考えるかもしれない。
子供への高等教育は小学校から大学まで一環の学校を選択する、幼いうちから海外留学を経験させる。別荘は夏向きか冬向きかで建てる場所が異なってくる。両方持てればそれもまた良いだろう。
田舎暮らしは最近では地方の公共団体が中心に募集活動を行なっているが、当初は今以上に高齢化が進み医療費等社会保障費がかかるので敬遠する自治体があると言われていた。田舎にしても海外にしてもそこで生活するには言葉や文化、習慣の違いだけでなくお金の問題が必ずついてくる。
子供の高等教育、豪邸や別荘、田舎暮らしや海外移住に一体いくらかかるのだろう。この問題をクリアしなければ、絵に描いた餅になってしまう。お金の問題は夢や希望の実現だけでなく現状の生活にも当然に関ってくる。夢や希望からトップダウンでアプローチするだけでなく現状から何をどのように変えていけば夢や希望が叶えられるかを考えるボトムアップのアプローチも必要となる。
そのために現状の生活に夢や希望を組み入れたライフプランをシミュレーションするのである。収入と支出と貯蓄残高の3 つの要素を関連して捉えるのである。収入は誰がどうやってどのくらい稼げるかによって決まる。支出は日常の生活とともに夢や希望を実現するとしたらいくらかかるかを計るのである。実現する時期に合わせて貯蓄しなければならない。これら3つを有機的に関連して捉えることになる。
そのためには社会保障、税金、万一の出来事、リスク、資産の運用、キャリアと収入等が絡んでくる。思いつきだけでは決して成しえないので、一つずつじっくり準備をする。一人で数値を入力しシミュレーションしてもその数値が確からしいものでなければ、得られる結果を見てもやる気にならない。そんな時ライフプランワークショップでは進行役のファイナンシャルプランナーがいるので、相談しながらシミュレーションが出来る。
またシミュレーションの数値が自分の現実の値では多少の抵抗があるだろう。初めに行なうシミュレーションは自分に近い事例を用いて仕組みを理解しながら進めるのがよいだろう。
他人の意見が鏡
ワークショップで行なうシミュレーションでは収入を変化させたり、将来のイベントに応じた支出を計上したり出来る。また必要に応じて資産の運用利回りを変化させる。目標達成までの期間に応じていくらの金額になればよいのか、それにはどのくらいの利回りを必要とするのか理解するのである。当然現状の金融商品に当てはめて考えるので、各自のリスクの許容度が大きく影響する。
このようにゲーム感覚でシミュレーションを行なっていると、自分の夢や希望の実現だけが一人歩きし、日常の生活がないがしろになりかねない。日常生活費が全くない生活や年20%の利回りを20 年間続けるようなシミュレーションはおそらく無理であろう。
そんなときに一緒に参加している者の意見が大変参考になる。一人で考えていると自分では気付かないところで暴走していることがある。他人の客観的な意見は暴走にブレーキをかけてくれるだろう。ここが個別のライフプランでは他人の意見を受け入れがたいところであるが、複数人のチームで行なうモデルシミュレーションでは躊躇無く意見が交わされる。
意見は参加者同士だけでなく、各チームにいるFP からも意見が述べられる。多くの人が一つのシミュレーションに参加するので、参加者により強気と弱気の思いにより結果に幅はできるが、大きく偏った結果は外される。
私たちの日常生活における消費行動の相談相手が時として販売先である場合がある。販売先は企業利益の拡大と顧客満足の双方から、より大きな消費に結びつくよう誘導しがちである。消費者側も十分承知しているので慎重になるが、我が家の家計やライフプランからみたらいくらの支出が適正なのかを判断できるのは本人だけである。
ゲーム感覚のシミュレーションであれば参加者同士気軽に意見が言える。他人の考えに共感した場合はやがてそれが自分の意見になっていることもある。声に出すことにより今まで気付いていなかった自分の考えを見つけることも出来る。
ライフデザインに戻る
ワークショップで取り上げられるシミュレーションは自分自身を全て映したものではないだろう。夢や希望に対してどのくらいのお金がいつ頃かかるか、どうやって乗り切ったらよいかなどのヒントは得られるだろう。社会の仕組みにどのように適合していけばよいか気付かせてくれるだろう。
たとえシミュレーションでも具体的に描かれれば、自分自身の強い動機付けになる。そのためにより自分にあったシミュレーションを描くには個別にFPに依頼することになるかもしれない。FPはこうしたら良いとか悪い、リスクの取りすぎだとか一定の基準は持っていてもそれが本人に当てはまるものかは分からない。常に本人の傍にいて本人の鏡になる立場となるだろう。
本人や家族の夢や希望は自分勝手に描けるものではない。子供の教育は子供が主人公であり親はその支援者である。子供が親の期待を素直に受け入れてくれるかは分からない。田舎暮らしを望んでも配偶者は一緒に来てくれるのだろうか。
今以上の収入を得るには、現在の仕事では成しえないとすれば、どのようにキャリアを変更していくのか。一攫千金を夢見て宝くじを買ってもその当選確率は限りなく小さい。運よく当ったとしても宝くじ当選者の多くはその後自己破産をしていると言われている。
見えない部分があまりにも多いことに気付くだろう。だからこそいくつものシミュレーションを描きながら自分自身の動機を高めるのである。一生懸命描いても時とともに面倒くさくなったり、煩わしくなったりして手を抜いたり計画変更しても誰もとがめたりはしないだろう。結果は全て自分に帰属することになる。
一度や二度の失敗ではいくらでもやり直しは出来る。失敗をばねにできれば次にはもっと大きく飛躍できるだろう。しかし、あまりにも大きな失敗は心の傷になり、時間の浪費は必ず発生する。長く思える人生もたった90年くらいしかないので、やり残しがないよう毎日を精一杯過ごしたいものだ。
長野日報土曜コラム平成21年4月25日掲載
有限会社テヅカプラニング 手塚英雄
32 キャッシュフロー表から始めよう
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