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69 生涯未婚

 

生涯未婚者は増加傾向

 

50 歳までに結婚したことのない者の割合を生涯未婚率という。50 歳以降に結婚するかもしれないが、50 歳までに結婚したことのない者は生涯結婚しないだろうから、このように言われている。多少乱暴な表現ではあるが、この値が年々上昇している。

 

1970 年代半ばまでは生涯未婚率は男性2%女性4%くらいで推移してきたが、1970 年代後半から急激に上昇し、2010 年男性20.1%女性10.6%に達している。近年では毎年の上昇幅が拡大している。

 

1970 年代後半といえば第一次オイルショックがあり、日本の経済が目覚しく成長を遂げた時期である。

 

当時の10 年物国債利回りは8%を越えていた時期でもある。ちなみに現在では0.8%くらいであるので、今思うと当時は信じられない利回りが実現していたものだ。

 

1990 年バブルが崩壊するまで株式や土地は右肩上がりで上昇していった。生活が豊かに便利になると、これまでより炊事、洗濯、掃除など家事に関わる負担は減少した。よって男性でも独り暮らしが容易になった。また、女性の就労機会が増えたので、経済的に自立できるようになった。

 

生涯未婚ということは子がいないので、少子化がますます進展することになる。そうなれば現在の社会保障制度は立ち行かなくなるし、人口が減少すれば消費が少なくなる。日本のGDPが縮小していくことになる。

 

社会全体としてみれば深刻な問題であるが、個人が社会問題解決のために結婚し、子をたくさん育てようとは考えられない。個人の生活設計による判断が優先されるのは当然であろう。

 

独り暮らしは気楽

 

独り暮らしは経済的に気楽でいられる。人生には住宅、養育、老後の3大資金が必要であるが、それぞれおよそ3,000万円で合計すると1億円になる。生涯未婚で独り暮らしであれば、大きな家は要らないし、子がいないので養育費もかからない。子を持つ親は子が大学に通っていれば、お金が湯水のように消え、日常生活が疲弊していくことを実感している。

 

養育費が全くかからないことは、その分住宅や日常生活に回せることになる。自らの欲求のままにお金を遣っても、足りなくなることはないだろう。もし足りなくなっても独りであれば、切り詰める余地は多くある。

 

ロバート・キヨサキの「金持ち父さん、貧乏父さん」の中で紹介されているキャッシュフローゲームが金融、株式、不動産、投資などの感覚を養うために最近各地でゲーム開催が行なわれている。ゲームの中でマイホームや子は負債として扱われている。素直に受け入れられないところがあるが、支出額から見れば十分納得できる。

 

また独り暮らしは精神的にも気楽である。仕事をきちんと行ない収入を得ていれば、起きたいときに起きて、寝たいときに寝る。食べたいものを好きなだけ食べる。好きなことを一日中やっていても誰からも小言や忠告を受けることはない。本能のままに生きられたらストレスも少ないと思われる。

 

子がいれば親は子の僕(しもべ)のようになる場合がある。子が欲しいもの、食べたいもの、行きたいところが優先され、親のストレスが解消されるのは子が寝ているときくらいである。子に接する機会の多い妻のストレスはやがて無関心な夫に向かい、夫婦喧嘩に発展することもある。

 

死ぬときは誰でも独り

 

生涯未婚であれば、配偶者も子もいないので当然死ぬときは独りである。おそらく親は先に死んでいるだろうし、兄弟と離れて暮らしていれば兄弟が最後の看取りをしてくれるとは考えづらい。最近問題視されている孤独死を迎える可能性が高い。

 

高齢者の孤独死の原因として、これまで地域社会やサークルなどに参加せず、他人との関わりを拒んできた者が多い。また家族や親戚に迷惑をかけたくない思いから独り暮らしをしてきた者が孤独死を迎えるケースが多いと思われる。

 

孤独死を防止するには地域とのつながりを持つとか、電気、水道、新聞などの業者が気付いたら連絡するとか、情報端末を所持して何かあったときにはすぐに誰かに連絡が取れるようにするなどがある。

 

これらは緊急時に誰かの助けを必要とする、仮に誰にも看取られずに死んだとしても長時間放置されずに火葬など後始末が行なわれる仕組みである。

 

人が死ねば葬式はなくとも火葬され、役所での手続きが必要である。またこれまで生活に使っていた遺品の整理も必要である。住居が賃貸であれば解約手続き、銀行口座があれば名義変更、その他電気、水道、ガスなどの閉栓手続きも必要である。

 

死んでしまえばこの世のことは関係ないと言ってしまえばそれまでだが、世の中の仕組みの中で生きている以上誰かの世話にならなければならない。迷惑をかけたくないと思いながらも結局誰かに迷惑をかけることになってしまう。

 

お金があれば最後を高齢者住宅で過ごすことができる。月々の家賃は年金と保有資金の取り崩しでまかない、遺言にて資産の分割や遺贈、友人に形見分けも出来る。また、死後の手続きや整理を第三者に依頼することも出来る。

 

独り暮らしは寂しさとの戦い

 

地域に配布物を届けるために独り暮らしの高齢者を訪ねたことがある。ほとんど面識がないにもかかわらず、不審者ではないと分かったから、お茶まで出してくれて色んな話を聞かせてくれた。話といってもこちらは一方的に聞くばかりで、やがて退去のタイミングを計るようになったくらいである。高齢者は常に話し相手を求めていることを実感した。

 

高齢者の独り暮らしは朝起きてから寝るまで誰とも話さない日が何日もあるという。今日も一日何事もなく終わったと想いながら床に就くのだろうか。何事もなければそれで良いが、これからずっと何事もなく過ごせるわけではない。不審者がやってきたら、豪雪や豪雨、災害に見舞われたら、自分の体力が衰えていったらと思うと不安は尽きない。

 

そんな不安を解消するには誰かが側にいてくれることである。そして困ったときに助けになってくれれば不安は解消する。

 

高齢者の口癖に独り暮らしは寂しいといわれる。結婚していても夫に先に逝かれる女性は独り暮らしになるので、寂しさに対する自衛本能が働く。地域、趣味、習い事、同窓会などの機会を利用して交友関係を広めていく。そして食事会、旅行、お茶会などを通じて親交をさらに深める。

 

一方男性の場合退職後は妻が唯一の話し相手になる場合がある。退職と共にこれまでの交友関係は全て失い、積極的に友達作りをしないと話し相手がいなくなる。

 

生涯未婚者は若いうちの独り暮らしは気楽でリスクも少ないと思われるが、退職して仕事を通じた友人を失って初めて話し相手がいないことに気付き、そのとき寂しさを改めて感じるかもしれない。

 

寂しさはおそらくそのときになってみないと分からないが、誰からも関心を持たれない状態である。自分の事を気にかけてくれる人が誰もいない。それは生きている実感が薄れ、世の中から必要とされないと思うかもしれない。

人間の尊厳に関わることでもあり、寂しさに耐え切れず独り暮らしの高齢者の自殺割合は家族がいる男性に比べ6.8倍高いといわれる。死に至るまでの苦痛は言葉に言い表せない。孤独死は誰にも看取られずに独りで亡くなったことが問題とされているが、人が人として最後を迎えられないことが問題である。

 

現役時代の気楽に過ごしたつけは、人生の最後に精算されることになるのかもしれない。

 

長野日報土曜コラム平成24年5月26日掲載

有限会社テヅカプラニング 手塚英雄

 

 

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