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72 争族は親の無責任

お盆の帰省

 

お盆になると日本列島のいたるところで渋滞が発生する。高速道路では10km以上の渋滞が当たり前のように発生する。また、渋滞のない列車でも車内は100%を超える乗車率になる。混雑することを承知の上でもお盆には故郷に帰省する。

 

故郷では祖父母が子や孫の顔を見るのを楽しみに待っている。また会えると思うこと、会えた瞬間が最高に嬉しい。久しぶりに会ったからといって特に何をするわけではない。互いに変わりがないか確認して安心するのである。

 

お盆の行事といえば、先祖の霊が帰ってくるので迎え火をたいて仏壇にお供え物をする。墓参りをし、地域によっては盆踊りが行なわれたり、成人式が行なわれたりするところがある。

 

そうしてしばらくタイムスリップをした感傷に浸りながら、送り火と共にまた長い渋滞を乗り越えて日常の生活に戻っていくのである。

 

久しぶりに親子、兄弟姉妹が顔を合わせても話題の中心は孫である。孫は日々成長していくので明るい話題に溢れている。学校生活、習い事、部活、受験等どれをとっても夢が膨らみ期待に満ちている。親や兄弟姉妹同士の会話は「変わりないか」「相変わらずだよ」の一言二言で済まされてしまう。

 

夫々が抱える問題などは語るに相応しくない。久しぶりに会って不安を与えるような話はとてもできる雰囲気ではない。

 

相続税が発生する

 

社会保障と税の一体改革として消費税率がやがて10%になることが決定された。これは少子高齢化により毎年増え続ける社会保障費を安定的に賄う目的で導入されることになった。

 

同時に相続税に関しても見直されることになっている。バブル崩壊以降地価は継続的に下落している、また高齢者が保有する資産を若年世代に移転を促すために今回見直しがされることになった。

 

これまで相続税では法定相続人が4 人の場合、基礎控除が9,000 万円(5,000 万円+1,000 万円×4 人)あった。相続財産が9,000 万円を超える家では相続税が発生することになる。言い換えれば9,000 万円以下の家では相続税は発生しない。現在相続税がかかる家は4%程度である。残りの96%の家では相続税は関係ないことになる。

 

ところが今回の見直しでは、法定相続人が4 人の場合、基礎控除が5,400 万円(3,000 万円+600 万円×4 人)になる。基礎控除額が6割に圧縮されることになる。これまで関係ないと思われていた家でも相続税がかかる場合が出てくる。

 

また死亡保険金に対する非課税枠は、これまで500 万円×法定相続人数であったが、法定相続人に生計同一要件が追加されることになった。これにより生計が異なる相続人分が減少することになる。さらにこれまで最高税率が50%であったが、55%に見直しされている。

 

資産は少ないのでもめることはない

 

相続税が見直しされても課税される家はまだ限定的である。資産に占める割合は一般に不動産が多いといわれているので、地価が下落している現状から相続税がかかる家はまだまだ少ない。

 

しかし相続税の有無に関係なく相続と共に遺産分割が行なわれる。相続税がかかる家は限定的でも遺産分割は全ての家に関わってくる。

 

「我が家は資産が少ないのでもめることはない」と思っている方はとても多い。本当にもめることがないと信じているのか、資産は多くないと謙遜しているのかは不明である。もめるのは多くの資産があり相続税を払わなければならない家と考えているのだろうか。

 

司法統計によれば家庭裁判所における調停や審判の件数は年々増加している。そのうち相続税がかからないケースが75%近くを占めている。これは資産が少ないほうがもめる可能性が高いといえる。相続税がかかる家では納税、節税と共に分割をどうするか専門家を交えて事前に検討されている。

 

資産が少ない家では住宅の建物と敷地、わずかな金融資産を現物のまま分割しようとすればどうしても過不足が発生する。

 

家から独立して家庭を築いた子供たちをみれば、元気で無事に過ごしているように見える。久しぶりに会って兄弟同士の会話は和やかでとても遺産分割でもめることなど想像できない。

 

独立して何十年も経てば互いの家庭の実体など知ることはできない。まして高齢の親に心配をかけるような話は子供からできない。住宅や養育、生活状況を垣間見ながら想像する程度である。

 

現在の年金受給者は保険料を払った以上に受給することができる。しかし現役世代は支払った以上に受給することが難しい状態である。現在65 歳の年金受給開始年齢も今後延期されるかもしれないと考えている。

 

かつてのように年功が上がるにつれて収入は増えない。しかし健康保険料、年金保険料等は上昇を続ける。ここにきて消費税率が上昇することが決定された。

 

また相続が発生する際の被相続人の年齢は80 代以降が多い。そのころ相続人たちは子の養育真っ盛りの頃である。子が大学に通っていれば湯水のようにお金は消えていく。わが子の将来を思えば何とか支援をしたいのは親として当然である。そこで自分の家族を守るには親の財産は必要不可欠である。

 

戦後しばらくの間まで家長が全ての資産を継承する家督相続が行なわれていた。その後現在の均分相続が導入され60 年以上を経過した。子供たちの意識の中には均分相続が浸透している。長男や次男、男や女といった区分もなく兄弟姉妹皆平等に分割されるという権利意識が備わっている。

 

遺産分割は遺言があればそれに従った指定分割が行なわれ、遺言がなければ相続人間で話し合う協議分割が行なわれる。そこでもめて決着がつかなければ家庭裁判所で法定分割が行なわれる。

 

争族は親の無責任

 

被相続人の配偶者が居るうちは親の言うことを子供として素直に聞くだろう。しかし、その片親の相続となれば相続人は兄弟姉妹だけになる。今まで親の手前抑えていた感情が爆発する可能性がある。

 

もめる原因は遺産の多寡によるものではない。他の兄弟姉妹と比較してどうして自分はこうなのかというところに納得ができないからである。均分相続に基づき均等分割の意識は定着している。

 

次男や次女はこれまでお下がりを与えられ続けてきた。長男は東京の私立に通ったが、次男は経済的理由から地元の学校を選択せざるを得なかった。長女は結婚し住宅取得時に親から支援があったが、次女は親と同居して親の面倒をみてきたが、未だ独身である。

 

兄弟が全く同様に親から支援をされて今日に至ることはない。兄弟間の格差は必ず生じている。その原因が自分にあったとしても、そこは認めたがらない。自分の欲求を表に出さずに権利を主張する。互いに譲る気持ちがなければ必ずもめることになる。

 

子が独立してから親の相続を迎えるまでには相当の期間が経過している。兄弟で一緒に過ごした時間をはるかに超える時間が経っている。その間定期的に顔を合わせることがあっても生活実態までは把握できない。遠くで離れて暮らしていればなおさらである。隣の芝生は青く見えるものだ。

 

互いに譲り合いがなければ分割協議はうまくいかない。法律で最低限の遺産取得を定めた遺留分を認めている。こうなると相続人である子供たちだけで円満な遺産分割は困難となる。

 

しかし親が分割の指示を出したら子供たちは素直に聞くだろう。

それは遺言という方法もあるが、そればかりではない。生きているうちに相続人全員に向かって口頭で伝えることもできる。ただし一方的に伝えるのではなく、事前に子供たちの意思を確認し、調整した上で伝えたい。

 

子供たちがこれからも仲良く、何かあったら助け合うことが出来るような関係であり続けて欲しいと思うな

ら親からのメッセージは必要である。何のメッセージもなくあの世に出かけてしまうのは親として無責任で

はないだろうか。

 

長野日報土曜コラム平成24年8月25日掲載

有限会社テヅカプラニング 手塚英雄

 

 

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