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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。
平成26年
平成27年
平成28年
平成29年
平成30年
令和元年からのコラム
平成31年
65. やがて結婚したくなる
66. 愛ある結婚
67. 結婚しない男性
68. 結婚できない女性
69. 生涯未婚
70. 離婚に学ぶ結婚
71. 熟年離婚リスク
72. 争族は親の無責任
73. 相続では間に合わないこと
74. 楽して儲かる仕事
75. 適当でいいじゃないか
76. 仕事ができる人は幸運を招く
平成24年
74 楽して儲かる仕事
ライフプランを実行するには収入が必要
ファイナンシャルプランナー(FP)の仕事には顧客と共にライフプランを描くことがある。顧客から将来の夢や希望を聞き、収入や支出、貯蓄高を交えてキャッシュフローを作成する。養育世代の特徴は住宅ローン返済と養育費支出が重なるので、この時期は収支が赤字になることがある。この間貯蓄を取り崩すことになるが、貯蓄で養育費支出が賄えない場合、現状の支出や将来の計画の見直しが必要になる。
住宅ローンはすでに支払いが始まっている。養育費も子供の数に応じて想定される。現状の家計を見直す上で思い付くのが加入している保険の見直しかもしれない。
かつては保障額が多ければ良いとされていた時代に契約した保険は、見直すことで不要な保障部分を削減し大きく保険料を下げることもできた。
しかし最近では必要保障額の考えが定着し、必要以上に保険に加入する人は少なくなっている。見直しても浮いてくるお金が少ないということになる。
他に見直すところはないかと発想を切り替えると、このあたりから夫婦間でバトルが始まるかもしれない。
夫は自分の小遣いや車両費の防衛に走り、妻は美理容、被服費等自分の領域を基本生活費の中に忍び込ませる。互いに自分の領域を守ろうとして譲ることをしない。
家計の見直しはムダな支出を減らして将来の必要費に充てようとしたものである。言い換えれば可処分所得の増加を目論んだ計画である。可処分所得の増加は支出を減らすだけでなく収入を増やすことによって達成できる。
夫婦会議では支出の削減見直しに終始して収入を増やそうという視点にはなかなか立てない。簡単に増やせるものではないが、これから何十年先のことを検討しているのだから収入を増やす視点があってもいいだろう。
どんなに切り詰めても衣食住で発生する費用は必ずある。子育てが終わったら妻がパートに出る予定を入れる家庭はあるが、夫の収入を増やす検討がなされることはあまりない。
年収の多い仕事
現在の平均年収が400 万円といわれる時代に多くの年収を得ている人はいるものだ。最も多くの年収を得ている人は日産自動車のカルロス・ゴーン社長8億9000万円である。2番目がソニーの社長兼会長だったハワード・ストリンガー8 億1000 万円である。所得税を差引いても手元に5 億円相当が残ることになる。毎年宝くじが当たっているようなものである。
上場企業の社長は億を超える年収を得ている人が多いものだ。あのオリンパスの菊川社長も1 億6000 万円もの年収を得ていたのである。プロスポーツのスーパースターが何億円で契約したといっても、何年続くか分からないことからみれば少ないかもしれない。
社長にはなれないにしても業種や職種によっても年収は大きく異なってくる。業種別平均年収の多い順は海運、石油・石炭、保険、証券・先物、電気・ガスがベスト5で平均年収700万円を超えている。東日本大震災で津波被害を受けた福島第1原発も東京電力が運営していたので、被害者賠償に電気料金値上げをする前に会社の経費を見直すよう求められていた。
一方職種別に平均年収をみると、投資銀行業務、金融コンサルタント、システムコンサルタント、不動産金融、マーケティングがベスト5 である。年齢にもよるが35 歳で平均年収が700 万円を超えている。職種を見ても何をしているのか良く分からないが、儲かっていることは確かである。
かつて2005年まで高額納税者が公表されていたが、2004年の高額納税者1位は投資会社社員で37億円もの税金を払ったことで話題になった。年収に換算すると100 億円相当になる。ファンドマネージャーとは儲かるものだと感じた。また最近の話題で消えた企業年金のAIJ 投資顧問浅川社長は7000 万円の報酬を得ていた。
日本を代表する家電会社のシャープ、ソニーも大胆なリストラが発表され工場を抱える地域経済に打撃を与えるというニュースが流れた。年収がいくらであろうと雇用が継続するだけで満足しなければならない状態である。
仕事でストレスを感じる
どんなに夜遅くまで仕事をしようが、土日の休日出勤をしようが、海外単身赴任で家族と長期で離れようが仕事だからしょうがない。団塊世代が現役の頃モーレツ社員、エコノミックアニマルなどと言われ仕事第一優先を貫いてきた。
そんな経験をしてきた人から見れば、若年者はひよわに見えるだろう。甘ったれたことを言うな、仕事は辛いのが当たり前だ。辛抱や忍耐が人を育てるものだと考えるかもしれない。
現在は会社に人生の全てをかけることにためらう。仕事だけが人生ではなく家族も仲間も趣味も大切な要素になっている。自らの本心に逆らって仕事を続ければやがてうつ病になるかもしれない。うつ病など精神疾患の患者数は近年増加している。
仕事だからしょうがない、お金を貰っているのだからしょうがない、こんな思いで仕事を続けなければならないのか。1 週間の溜まったストレスを週末に晴らして、休日の間にリセットして月曜日にまた仕事に立ち向かう。月曜日は電車が停止する人身事故が発生するのはストレス発散とリセットが出来なかったせいかもしれない。
ストレスが溜まる業界はIT・通信、不動産・建設、商社、メーカー、流通・小売・サービスの順になっている。またストレスが溜まる職種をみると、クリエイティブ職、公務員、サービス・販売、専門職、ソフトウェア・ネットワーク技術系となっている。
平均年収が高い職種がストレスの溜まる職種といえる。こうしてみるとお金を取るかストレスを回避するかの選択になる。しかし満足度の高い職種の多くは平均年収が高い職種でありストレスの溜まる職種である。
楽して儲かる仕事
楽して儲かる仕事というと「濡れ手で粟」を想像するかもしれない。努力をせずにたくさんの利益が上げられることである。同様のことわざに「棚から牡丹餅」があり、労せず思いがけない幸運を得ることである。
偶然にたまたまチャンスが訪れることはあるかもしれないが、いつまでも続くことはほとんどない。
努力をしていなければ自身のスキルは上達していないはずだ。未熟の者に一度や二度はチャレンジの機会が与えられても期待した結果が伴わなければ次の機会はない。
労を惜しまず努力することはネガティブに捉えれば苦痛が発生する。毎日嫌でしょうがなく過ごしていれば、その気持ちは身体の変調にも及ぶだろう。嫌々ながら取り組んだ仕事の結果は評価されるには至らない。
一方ポジティブに捉えて新たなスキルが身につく、これまでと異なる仕事にチャレンジできるとワクワクしながら仕事に取り組めば期待以上の結果が得られるかもしれない。ワクワクしながら仕事をしていると、脳からドーパミンが放出されるという。好きなことをやっている時だけでなく、他人から認められたり、誉められたりしたときもドーパミンが放出される。
ドーパミンが増えると快楽を感じるだけでなく、元気になりアイデアが出やすくなり、仕事の能率も上がるといわれている。
仕事の結果はおのずとついてくる。報酬が増えるのは当然かもしれない。さらに会社にとって必要な存在になればリストラリスクは減少する。
仕事を苦労と思えばスキルも身につかず結果も出ないが、楽しいと思えばスキルが身につき、さらに元気になって結果は後からついてくる。楽しく仕事ができれば儲かるチャンスは確実に多くなると思う。
長野日報土曜コラム平成24年10月27日掲載
有限会社テヅカプラニング 手塚英雄
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