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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。
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57. ラストメッセージ
58. 献体・臓器提供
59. 介護に備える
60. 葬儀業者
61. 結婚活動
62. 結婚しようよ
63. 結婚する前に
64. 夫婦の財布
平成23年
59 介護に備える
社会問題としての介護
老老介護による殺人、無理心中、虐待事件が報道されることがある。老老介護とは家庭の事情により高齢者が高齢者を介護している状態をいう。介護という先が見えないことから肉体的、経済的、精神的な疲労から事件が発生するといわれている。高齢者介護が事件として取り上げられるとともに社会問題として構造的変化が大きく3つ存在する。
第1は、少子高齢化が進行し若年者と高齢者のバランスが変化している。65歳以上の高齢者人口が5人に1人から4人に1人に変化し、この割合は今後更に進行する。日本においてはこの変化が他諸国に比べ非常に早い。
第 2 は、介護者の問題である。かつて介護は家庭内で女性の無償労働として行なわれていたが、女性が外に出て働くことにより介護の担い手がいなくなった。また、親世代と同居する生活スタイルも薄れ、子が身近にいて容易に介護できなくなった。
第 3 は、医療技術の進歩により、適切な介護を受ければ長生きできるようになった。費用がかかるが、専門家によるサービスが受けられるようになった。
介護保険
公的介護保険は医療保険、年金保険、労災保険、雇用保険に次ぐ5 番目の社会保険である。新たな社会保険が定着するのに10 年ほどかかることから、団塊世代が65 歳になる10 年前の平成12 年から施行された。
現在保険料の負担は40 歳以上となっているが、サービスを受けられる者は第1 号被保険者の65 歳以上と第2 号被保険者の40 歳から65 歳未満では異なる。第1 号被保険者は介護となった原因は問われないが、第2 号被保険者は加齢に伴う心身の変化に起因する特定疾病による介護に限られている。
特定疾病とは、末期がん、脳血管疾患、パーキンソン病、初老期認知症などである。ケガで要介護状態になっても65歳未満の方は公的介護保険サービスが受けられない。
健康保険では体調不良で病院に行けば、医師の判断で健康保険が適用され、かかった費用の3 割が自己負担で済んでいる。
ところが、介護保険の場合は主治医の意見書を添えて市町村の介護保険担当窓口に申請書を提出することから始まる。申請すると訪問調査員が自宅などを訪ね、心身の状況について認定調査を行い、やがて認定結果の通知が郵送される。
介護保険サービスが必要と判断された場合は、「要支援1~2」「要介護1~5」記載され、介護保険サービスが必要でないと判断された場合は、「非該当(自立)」と通知される。
要介護5 が最も症状が重く、食事や排泄、歩行や日常生活全般に介護を必要とする状態である。ほとんど寝たきり状態である。
保険給付内容は、居宅サービスと施設サービスに分かれる。要介護と認定された者は、居宅、施設の両面でのサービスが受けられるが、要支援と認定された者は、要介護状態にならないように予防という観点から居宅サービスのみが対象になる。
居宅サービスには訪問、通所、短期入所、その他に分かれるが、ケアマネージャーにその人に合ったケアプランを作成してもらうことになる。施設サービスには介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護療養型医療施設の3種類があるが、介護療養型医療施設は今後廃止される予定である。
要介護度により1 ヶ月に利用できるサービス限度額が決まっている。
要支援1では49,700円、要介護5では358,300円でかかった費用の1割は自己負担となる。施設サービスでは自己負担1割に加え、食費、居住費、日常生活費が自己負担になる。
公的介護保険の補完として民間の介護保険がある。損害保険会社では介護費用保険といって、寝たきりや認知症によって所定の要介護状態になった場合、保険金額を限度に実際に発生した医療費用・介護施設費用保険金や介護諸費用保険金が支払われる。
生命保険会社では損害保険同様に所定の要介護状態になった場合、介護一時金や介護年金が支払われる。どちらも要介護状態が180 日程度の待機期間を超えた場合に保険金が支払われる。
公的介護保険では医師の意見書を元に自治体が介護度を決定し、介護度に応じてサービスが給付されるが、民間介護保険では医師の判断に基づき保険会社の基準で現金給付がなされる。
介護の原因
介護が必要になる原因は様々であるが、厚生労働省が平成20 年に発表された統計によると、脳血管疾患(脳卒中)23.3%、認知症14.0%、高齢による衰弱13.6%、関節疾患12.2%、骨折・転倒9.3%などとなっている。
高齢による衰弱は誰にでも当てはまることかもしれないが、介護の原因として3つに分類されている。
第 1 に身体の病気である。脳血管疾患、関節疾患、心疾患、パーキンソン病などである。これらの病気にかかると、身体に麻痺が生じ、関節が思うように動かなくなる。その結果、日常生活に他人の介助が必要になる。
第2に精神的な病気である。代表的なものに認知症がある。認知症になると、物忘れや日時、場所、人がわからなくなり、妄想、幻覚、徘徊などの症状が表れる。
第 3 にケガによる骨折・転倒である。高齢者の場合筋力の減退に加え、視力の衰えが重なり転倒事故がおきやすい。さらに骨粗しょう症により骨がもろくなっていることもあり、些細なことでも骨折になってしまうことがある。
このような原因の対処法として、日頃から適切な睡眠や食生活をとり、適度な運動を行い、社会との関わりをもち、安全な住環境を備えることが必要といわれている。
介護に備える
要介護状態といっても人それぞれ異なり、期間も異なるのでいくらあれば大丈夫などといえるものではないが、おおよその試算をしてみた。
介護期間は何年続くか分からないが、平均余命からいえば65 歳の男性ならば18.2 年、女性ならば23.2 年である。健常者ではないので、介護期間は平均余命より短くなるかもしれない。
介護費用は在宅介護であれば、1割の自己負担になるので、要介護5では月額3.6万円が発生する。
しかし、在宅介護では住宅の改修が必要になり、平均工事実施額として287万円といわれている。
一方施設介護では特別養護老人ホームでは日常生活費が加算され月額10 万円くらいになる。有料老人ホームでは施設により大きく異なり、月額25 万円、入居一時金は何千万円ともいわれている。自分がどこでどのように介護を希望するかにより大きな違いが出てくる。
介護を受けずにピンピンコロリと行ければよいかもしれないが、こればかりは何ともしようが無い。自身で出来ることは、日頃から身体や精神の健康管理に注意を払い生活をすることになるだろう。
介護者の多くは親族の場合が多く、お金だけでは解決できない。介護者となる配偶者や子は現状の仕事や住まいを変更せざるを得なくなるかもしれない。ケースに応じて対応は異なるが、もし自分が要介護状態になったらと想定することは今すぐ出来ることだろう。
長野日報土曜コラム平成23年7月23日掲載
有限会社テヅカプラニング 手塚英雄
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