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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。
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平成30年
令和元年からのコラム
平成31年
53. 遺品整理
54. 死んだ後にやること
55. 地震リスクマネジメント
56. お墓
57. ラストメッセージ
58. 献体・臓器提供
59. 介護に備える
60. 葬儀業者
61. 結婚活動
62. 結婚しようよ
63. 結婚する前に
64. 夫婦の財布
平成23年
62 結婚しようよ
結婚の条件
フォークシンガーの吉田拓郎は「僕の髪が肩まで伸びて君と同じになったら」と歌っていた。また元アイドル女性歌手は結婚会見で理由を聞かれたとき、「出会った瞬間にピピッと感じるものがあった」といっていた。人それぞれ結婚相手を選ぶ上で自分なりの条件を持っていると思われる。
かつては適齢期に達すると誰でも結婚するものと考えられていた。自ら相手を見つける場合もあれば、おせっかい者の手を借りる場合もあった。そして今ほど深く相手を吟味することなく、その場のインスピレーションで相手を選んでいたかもしれない。
それは男と女の社会での役割が現在より明確であったからかもしれない。社会が成長する時代では男は仕事で金を稼いで家族を養い、女は子を育て、家庭を切り盛りしていく。女は結婚を機に仕事を辞め家庭に入り専業主婦となるのだ。
バブル期の男に対する結婚の条件は高学歴、高収入、高身長という3高であった。これは猛烈な仕事人間であり、家族とともに過ごすことを疎かにしがちなことの反省から、最近では低姿勢、低依存、低リスクの3 低、「威張らず」「頼らず」という、女性に家事を任せ放しにしない協力的な姿勢。そして食いっぱぐれのない職業を手にしている男性が求められているらしい。
また結婚相談所の調査結果によると男性の年収400 万円以上を希望している女性が多いが、20、30代の男性では2割くらいしかいない。残りの8割の男性は年収基準でふるい落とされることになる。男性側の意見を汲んで女性も稼いで夫婦でそれ以上を達成する生活設計本が出回ってきた。
団塊世代が適齢期を迎えた時代は年間100 万件を超える婚姻数であったが、現在70 万件くらいで推移している。この就職難の時代にますます婚姻数が減るかと思いや、震災の影響から一人でいることが不安なことから、結婚をするカップルが増えたといわれる。
理想のパートナー探し
結婚とはいつか理想のパートナーが必ず目の前に現れ、必然的に結婚できると信じられているところがある。しかし、生涯未婚率があらわすように男性20%女性10%は生涯独身のままでいるのであれば、ただ待っているだけでは年を重ねるだけに過ぎない。
近年晩婚化が進行しているが、高齢分娩には早産、流産や妊婦の死亡リスクが伴う。20 代に比べ40歳を過ぎると、そのリスクは20倍になるといわれている。子が欲しいので結婚したいという女性は期限が決められているので、女性向けの理想のパートナー探しを調べてみた。
1 番目として、男性は彼女と結婚したら幸せになれそうだ、居心地がよさそうだと感じることである。結婚してみないと分からないことはあっても、期待値が高くなければ結婚には至れない。男性は女性を楽しませようと努力するので、女性は素直に喜ぶことが必要である。
また男性は認められたい、尊敬されたいと思っているので、男性の言動にダメだしをするのではなく、ありのままを受け入れること。さらに同じ価値観や趣味を持っていればなおよく、見返りを求めない女性であれば男性は居心地よく感じる。決して男性の劣等感を刺激する行為をとってはいけない。
2番目として、女性自身の価値が高いと信じ込ませること。結婚相手を人ではなく「役割」という目で見ている。期待した価値があるか、役割を果たすだろうかということである。
男性が女性に期待する役割とは、容姿、癒し、経済観念、従順といわれている。容姿、見た目は大切であり、女性が男性の年収を気にするのと同等であるらしい。容姿の良さは男性の性欲の充足や同伴時のステイタスに関わってくる。不足部分は補強し、自身の強みを強調することにより効果は高まる。
3 番目として、相対的要因である。男性自身が仕事や生活で凹んでいる時は、彼女の価値が相対的に上昇する。側にいて支えてくれる人をありがたく感じる。男性の友達が結婚したり、そろそろ結婚したらと声をかけたり、彼女はお勧めだよを言われたりすると、その気になってしまうらしい。
男性側のニーズを拾い集めたが、女性側のニーズも当然あるだろう。しかし、理想のパートナーと出会った後のクロージングには参考になるかもしれない。
結婚はゴールではなくスタートライン
婚活は理想のパートナーとめぐり合って結婚することがゴールと捉えている。しかし、本人にとってはこれまで生きてきた時間よりはるかに長い結婚生活が始まる。だからどうしても結婚前と結婚後の生活を比べてみてしまう。よく結婚のメリットとデメリットが取り上げられるが、あらためて整理してみた。
メリットとしては、人生の伴侶が得られ子も授かるだろう。社会的信用が高まり、いつまでも独身でいる変わり者と思われなくなる。会社員であれば家族手当が支給される。責任感があると思われ、昇進にプラス効果がある。さらには老後の安心が得られる。
デメリットとしては、家族を養うためのお金がかかり、自分の自由に使えるお金が減ることだ。パートナーや子に費やす時間が増えるので、自分の時間がなくなる。これまでの友達との付き合いが出来なくなる。
盆や正月、夏休みには実家に帰省し、夫々の親戚との面倒な付き合いをしなければならない。
子がいないうちは妻であるが、子が産まれた途端に妻は主婦になり母になってしまう。
男性から見れば、お金、自由、時間、愛など失うものは多く得るものは少ないように感じるかもしれない。
女性にしてみても同様である。出産後しばらくは仕事を辞めなければならない。夜泣きにより夜中に何度も起きなければならない。
このように考えればどうして結婚するのか分からなくなる。皆結婚しているから、結婚することが常識で当たり前のことだからだけでは行動に移せない。反対に結婚しない理由を公に伝えたくなる。人は生まれるときも死ぬときも一人であるとか、お金があればサービスの行き届いた施設に入れるから心配ないなどである。
結婚の意義
人が結婚して子を産むことを生物として見れば種の保存である。もしこれだけのためであれば、親と子がともに生活する家族は必要なく、クローン研究を積極的に進めればよい。
親は子の養育義務を持ち、責任を持って育てていかなければならない。子はやがて成人になり責任能力を持ち社会人になっていく。当たり前のことがずっと繰り返されてきた。
結婚は家族を形成する最小単位である。ここから全てが始まる。人は生まれてから死ぬまでずっと成長し続ける。肉体はある年齢に達すれば成長は止まるが、精神はずっと成長を続ける。大人になるということは、肉体とともに精神が成長したから言えるのではないだろうか。
一人では学べないことも家族を通して学ぶことが出来る。夫婦で子を育てること、家を建てること、互いの話を聞くことなどを通じて成長していくのだろう。
夫婦で共通する仕事もあれば、夫と妻の役割が分担されている場合がある。互いが役割を果たすとともに、互いの役割を認識しなければうまくいかない。ここで求められるものは無償の奉仕であり、利己的な生き方は制限しなければならない。
自我を捨て互いを思いやることが出来なければ、家族は崩壊する。
社会ではお金をたくさん持っている者が勝ち組、少ない者が負け組といわれる。お金を有効に使う、お金に振り回されないなど物欲的な判断基準を養育、夫婦、結婚に当てはめることは間違いだろう。
結婚によって自我を制する機会が与えられる。初めから決してうまくはいかないが、葛藤の中苦しみながら乗り越えていけば、人としてのより高度な成長が得られるのだろう。苦しさを知っているから優しくなれるのだろう。老夫婦が互いに気遣い、歩む姿や世話をする姿はこれまでの困難を乗り越え、穏やかに豊かな人生を送っている成熟した大人の姿に見えてくる。
結婚して既に銀婚式を迎える年になったが、日々の生活に追われ、自我を制して無償の奉仕に尽くすには程遠いが、明るく豊かに暮らすには必要なことだろうと思うようになった。
長野日報土曜コラム平成23年10月22日掲載
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