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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。
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平成30年
令和元年からのコラム
平成31年
6. リスク 生命保険
7. 資産設計1
8. 資産設計2
9. 資産設計3
10. 投資マインド
11. 長期分散投資
12. 資産の棚卸し
13. FPになろう
14. 生命保険の見直し
15. アパート経営その前に
16. 相続その前に
平成19年
日経平均株価は1989 年12 月に38,915 円という高値をつけた後、急激に落ち込みを続け2003 年4 月に7,603 円という安値を記録して、現在18,000 円を超えるまで回復してきました。今後どのように推移するかは分かりませんが、かつてみたいな高値が付くことはないだろうと言われています。
もしこのような動きを事前に知ることが出来たら、1989 年までは株式投資を積極的に行い、その後売却して債券や一時払い養老保険等固定金利商品に資金を移動し、2003 年から再び株式投資に資金を投入していたら、どれだけの利益を得られたでしょうか。過去に対して「あの時こうしていたら」なんて誰でも言えることでしょうが、実行に移せた人はどれだけいるでしょうか。
株価が下がり続けている最中は、まだ継続して下がるだろうと「慣性の法則」が働きます。やがていつか変局点を迎えますが、誰も正確に知ることは出来ないのです。一旦リバウンドしてからまた下がり続けることはいくらでもあります。そして気がつくとあの時が最安値のときだったと後になって分かります。
投資と投機は似て非なるもの
投資も投機も将来予測不可能で結果として上がるか下がるかは分からないものだから同じものといわれるかもしれません。過去のデータは過去のもので将来の予測にはあまり参考になりません。
一般に「投機」とは相場観やヤマカンを頼りにして、資金の投入や引き上げのタイミングが勝負の鍵となります。運がよければ大きく勝ちますし、運がなければ元手がなくなってしまいます。ギャンブル的であるので競馬、競輪、パチンコ等に共通するものがあります。もしかしたら当たるかもしれないというドキドキ感を楽しむことが出来ます。
一方「投資」は予想どおりに上がるかもしれなければ、下がるかもしれない(このブレのことをリスクという)リスクをコントロールします。世の中の出来事の中には一方が上がれば、もう一方が下がるというものがあります。このようなものを組み合わせることによりリスクをコントロールします。例えば為替は輸出企業と輸入企業では反対の作用が現れます。短期間で高いリターンを目指すのではなく、長期に渡り安定したリターンを目指すにはリスクのコントロールが必要になります。
また投機といわれる競馬、競輪、パチンコ等を全体から見ると参加者の投じた資金のうち3割を元締めが取り、残り7割を参加者で分け合いますので、儲かる人もいますが、その分損をする人がいます。
株式投資はというと、東証株価指数TOPIXは1968 年を100 として現在1,800 ほどになっています。これは株価時価総額が1968年から18倍になっていることを現します。複利利回りで計算すれば年7%で成長しているということです。ギャンブルとの違いは資金を投じる先が確実に成長し、パイが拡大しているということです。投資をするならば、成長し拡大している市場を対象にすれば、リターンは得やすいと考えられます。
分散投資
一般に人の感覚の中には短期間で大きなリターンを求めがちです。ギャンブルはゲームの終了とともにリターンが確定しますので、多くの人を惹きつけるのでしょう。またゲームでは勝ち負けが決まって終了してもリセットすれば、再びゲームが開始できます。
一方私たちの人生においてはどうでしょうか。日本人の平均寿命は男性79歳女性85 歳といわれています。途中で資金ショートになって、ゲームと同じように人生をリセットすることは大変難しいでしょう。もしリセットするならば、相当の痛みが伴います。
ゲームではプレーしている間が楽しく、結果として儲かればさらに良いのですが、人生はリセットが出来ませんから再起不能になるほどのリスクを取ることは許されません。どのくらいの損失が許されるか、またどのくらいのリスクがあるかを常に頭に置かなければならないのです。
株式投資においては値動きの激しい1 銘柄に集中投資して、当たれば大きな儲けが得られます。さらに信用取引のように他から元手を借りて投資すれば、儲けはさらに大きくなります。運悪く外れれば元手がなくなるだけでなく、その後借金も発生します。大きく負けないためには一方が負けているときには他方が勝てるようにして、リスクを低減する分散投資が必要になります。
一般に株式が上がれば債券価格は下落するというように反対の値動きをします。過去20 年間に日本の株式は大きく変動しました。これに債券を加えていたら、リターンは減少しますが、変動幅はある程度抑えられたでしょう。
また、日本国内株式はバブル崩壊後長期のデフレ時期を経過し現在に至っています。日本株式が低迷している間にも海外の株式は1996 年から大きく上昇していますし、最近中国では高い成長が維持されています。日本が落ち込んでいる間にも世界は各地では着実に成長を遂げているのです。経済成長率をみると、日本2%、米国5%、中国、インド10%となっています。
国内株式、海外株式、国内債券、海外債券の4資産をを組み合わせれば、1つの資産に投資するより値動きのブレは小さくなります。資産ごとプラスとマイナスが相殺されて、結果としてリスクが小さくなるのです。このように国際分散投資された資産が描くカーブは世界のGDPと同様の結果が得られるでしょう。資本主義社会では常に新たな付加価値が創造されますので、ギャンブルとは異なり投資されるパイは拡大していきます。
長期投資
リスクを低減するには分散投資が有効であることが分かりました。他にリスクを低減する方法として長期投資があります。長期投資とは常に市場に投資を通じて参加していることを言います。例えば株式市場では、どの銘柄の株価がいつ高騰するか分からないのです。高騰する前に買い、高騰しているピークで売却できるにはインサイダー情報を得るか、株価操作でもしない限り困難でしょう。万一そのように売却できたとしてもそれは偶然であり、長期間にわたり常に達成できるものではありません。
常に市場に参加していれば、高騰するタイミングを逃すことはありません。
投資期間とリターンの振れ幅の関係を見ると、単発的に投資した場合に比べて長期に渡り投資し続けた方の振れ幅が少なくなる結果が得られています。言い換えると長期投資のほうがリスクを低減することができるのです。また長期投資は市場から得られたリターンを再投資することになりますから、リターンが新たなリターンを生むことになります。
これはちょうど複利でお金を預けた場合と同じ効果が得られます。100万円を単利5%で10年間運用すれば150万円になりますが、複利5%で10年間運用すれば163万円になり、その差は13万円になります。
長期投資が出来るということは、私たち個人投資家の最大の武器といわれています。経験や情報等においてはプロの投資家が勝っているでしょう。しかし、プロ投資家は決められた期限内に常に結果を出さなければなりません。5 年後に5 倍になる運用が出来たとしても、途中で他のプロ投資家より大きく劣ってしまえば担当から外されてしまいます。
よって、小刻みに結果が求められますので、もう少し様子を見ようとすることは出来ません。
個人投資家は投資に対する決算と結果は自分自身で決めることが出来ますので、一時リターンが下がったとしても、その市場に居続けることが出来ます。市場に居続けることで次の高騰するタイミングに備えることが出来ます。
投資は人生の途中でゲームオーバーは許されません。自らのスタンスで焦らず、じっくり時間をかけて育てていくものです。リスクをコントロールしながら市場に参加することにより、市場に吹く風や流れる空気を感じることが出来ます。そして経験を重ねることによりご自身のスキルが磨かれていくことでしょう。
長野日報土曜コラム平成19年7月28日掲載
有限会社テヅカプラニング 手塚英雄
11 長期分散投資
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