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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。

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アパート・マンション林立

 

少子高齢化が進行している現在でも近隣においてアパート・マンションが建設されています。もう飽和状態だろうと思っても、次々と新築物件が建てられるにはそれなりに理由がありそうです。

建築側の話によれば、かつて大家族が核家族に細分化され、それが進行して親と同居する家庭が少なくなり、少子高齢化ではあるが世帯数は増加しています。また最近では離婚する家庭が増加して世帯数の増加は今後とも継続すると言われています。入居者は常に新しい住居を好み、最新設備を備えた新築物件は数も少なく人気が集中するということです。

 

建築主であるオーナー側にはこれまで農地だった所に道路整備が行なわれ、宅地ニーズが出てきました。そして、次第に周辺が開発されるとこれまでのような農業がやりづらくなってきます。また、農業従事者は高齢化し、後継者難から農業規模を小さくする、転業を図るなどの理由があります。

 

不動産経営はアパートを建てるまでは様々な検討項目がありますが、この煩わしい部分を建設会社に、入居者募集・管理は不動産会社に任せれば、オーナーとしては土地の提供と融資の申し込みくらいで特別なスキルは必要ありません。確定申告を会計事務所に任せれば何もすることは無く、アパート経営は誰でもできる不労所得獲得法と思われるかもしれません。

 

不動産の特徴

 

不動産には他の資産と異なる特徴があります。土地については公共の福祉を優先し、地域の諸条件に応じた適正利用が求められ、投機取引の対象としてはならないという基本理念があります。都市計画法においては市街を活性化する市街化区域と市街化を抑制する市街化調整区域に分けられています。

 

土地の開発行為には届出が求められ、認可を得なければ開発できなくなっています。建築物を建築する場合にも事前の確認が求められています。また、自分の土地ならばどのようなものでも建てられるわけではなく、地域によって建築できるものが決められています。このように不動産は自分のものでも自由に使用することが出来ない資産です。

 

不動産に対する税金も細かく決められています。不動産の取得にあたっては不動産取得税がかかり、所有権の登記には登録免許税がかかり、土地取得には発生しませんが、建物取得には消費税が発生します。さらに作成する契約書には印紙税が発生します。不動産を保有するには毎年固定資産税、都市計画税があり、譲渡するには譲渡益(=譲渡収入-取得費-譲渡費用)に対して所得税がかかります。このように法律や制度により自分の資産といっても、国から預かり、決められたように管理、利用して使用料を納めるもののように思えます。

 

次に不動産を金融資産と比較してみましょう。必要なときに現金化できるかという「流動性」では、不動産は最も流動性の低い資産といわれています。不動産は地域に定着した資産ですから買手が限定されてきます。最近では小口化、証券化して流動性を高める不動産投資もありますが、地域の不動産では難しいところでしょう。

 

元本に対してどれだけの収益が得られるかの「収益性」では、売却によって得られる譲渡益(キャピタルゲイン)と賃貸等によって得られる賃貸収入(インカムゲイン)がありますが、地価下落の続く地方においてはよほど安く不動産を仕入れない限り譲渡益は見込めません。また、短期の譲渡には多額の税金が発生します。

 

元本が保証されているかという「安全性」では、不動産が最も優れた資産といわれています。災害が発生しても土地は必ず残るということでしょう。しかし、災害によって建築資産は被害を受けますし、被災地でインフラが破壊されますと資産価値は低下します。しかし、このような災害は金融資産の安全性リスクより低いと思われます。

 

不動産に対する思い

 

かつて農業が盛んに行われた時代は広い土地を所有していることはその家が裕福であることを表していました。屋敷の周りにはいくつもの蔵があり、自分の敷地内を通ってなるべく遠くまで行けることが自慢になっていました。代々続いた家では土地は財産であり、お金以上の価値がありました。

 

土地や建物を自ら購入したのであれば、時代に応じた処分は容易と思われます。しかし多くの不動産資産は代々受け継いだものであれば、土地は次代の後継者に継いで自分の代で失いたくないという思いが強いでしょう。この思いは親からの言い伝えであったり、自分自身の生い立ちがその場所にあったりしますので、損得だけで判断できません。

 

体力的に農業規模を縮小しなければならない、また農業後継者がいなければ土地の転用を図らなければなりません。農地を放っておけばやがて草むらになり、衛生的にも防火上も好ましくありません。受け継がれたプライドや世間体からも許し難いものがあるかもしれません。

 

そこで土地を手放すことが出来なければ、利用して新たな資金源とする法としてアパート・マンション建設に注目が集まります。広い農地が駐車場に変われば草取りの心配はなくなり、アパート・マンションという目に見える資産に変わると、かつての地主から新たに大家としてステータスが保たれます。

 

アパート経営のメリット

 

賃貸住宅経営は建ててしまえば、農地の維持に比べてほとんど手がかかりません。毎月自動的に銀行口座にお金が集まってきます。建物の減価償却費が計上できますので、決算は赤字でも手元に現金が残ります。現金収入は老後の年金不足の補填に役立ちます。決算が赤字でも他に所得があれば、損益通算により所得税の削減に役立ちます。固定資産税等は経費に算入できますので、利益が圧縮できます。さらに小規模企業共済等の加入により所得控除が行なわれ、利益を圧縮しながら将来の退職金準備ができます。

 

アパート・マンション建設は構造によりますが、1戸当たり1,200 万円の控除により不動産取得税がかからない場合があります。固定資産税も構造によりますが、3 年もしくは5 年間税額が半分になります。相続税においては建築費が借金であれば、資産と負債で相殺され資産の圧縮に役立つでしょう。また土地においては貸家建付地として宅地に比べて評価が下がります。

 

投資の観点から見ると世の中の経済と直結して値動きがあるわけではありません。どんなに不景気になっても入居者が確保できれば収入が得られます。不動産を投資資産に加えることで、分散投資効果が期待できます。

 

借金をするという大きなハードルを越えさえすれば、土地を手放さず、老齢年金の補填ができ、相続税の心配もなくなるというなんとも良いことずくめのウルトラC のように思えます。

 

アパート経営のデメリット

 

一方アパート・マンション経営はあまり儲からないといわれていますが、純利回りで2~3%くらいではないでしょうか。例えば3%とすれば、1 億円投資して年間手取り額が300 万円ということです。投資金額を回収するまでに30 年を超える期間を要することになります。日本の経済成長率とほぼ同等で、国債の利回りより少し高くなります。

 

借金をしておよそ30 年で返済をするならば、返済は後継者の代にも及ぶでしょう。後継者が決まっていないところで相続が発生すれば、相続税が無くても遺産分割で相続争いの火種になりかねません。

 

借金完済まで30 年は長い期間です。その間次々と新しいアパートが建ち、建物、設備とも劣化し陳腐化していきます。建築後10 年くらいでは入居者はすぐに見つかるでしょうが、15 年20 年と経過すると空室期間が次第に長引きます。空室を埋めるためには家賃を下げることになりますので、収益性は低下してきます。また、この頃になると建物設備の修繕費が多く発生してきます。

 

空室率の増加は入居者の選択基準を緩くします。これまでにない入居者が現れますので、予想もしないトラブルが発生します。家賃の滞納、入居者間トラブル、ルールの崩壊等があれば空室率はますます高まります。最悪のケースとして事件でも起きたら風評被害により賃貸経営は成り立たなくなるでしょう。

 

不動産は安定性の高い資産といわれていますが、地震や災害により大きなダメージを被ります。地震保険に加入しても半分までしか保障されませんし、災害により入居者がまとまって出て行ったならば返済だけが残ってしまいます。心配すればきりがありませんが、常に不安が付きまとってきます。

 

不動産の有効活用

 

アパート経営は建物を建てて貸すという土地を手放さない方法ですが、土地に手を加えずに貸す借地という方法もあります。一度借地にすればよほどの理由が無い限り戻ってきませんが、一定期間経つと戻ってくる定期借地という制度もあります。そして求める相手がいれば売却するのも有効活用のひとつでしょう。

 

アパート・マンションは比較的どの地域にも建てることができます。

都会ですと駅に近ければ利便性が高まりますが、地方では自動車が交通手段になりますので、対象範囲は広がります。場所によってはオフィスビル、商業施設、ロードサイド店舗等が考えられます。これらはアパート・マンションより収益性は高くなりますが、組織変更、景気動向により進出・撤退が行なわれます。一度撤退しますと建物形状が個性的ゆえに次の借り手はなかなか見つからないのが実情です。アパート・マンションに比べミドルリスク・ミドルリターン投資ということです。

 

地主に見られる傾向として頑固でプライドが高いと言われています。誰かがうちの土地に注目してきっと良い提案をしてくれる。こちらから相談を持ちかけると足元を見られてしまうという心配があるのでしょう。

相手からの提案は地主にとって必ずしも好ましいものでないかもしれませんが、相手にとって必ず好ましい提案であります。

 

保有している土地を何とかしたいならば、じっと待っているのでなく積極的に情報収集活動を行ないましょう。切羽詰って性急な判断を行なうときにこそ足元を見られてしまいます。先祖が築いた資産は不動産という形をしていますが、受け継ぐべきものは形ではなく時代に応じた資産管理の感性ではないでしょうか。

 

長野日報土曜コラム平成19年11月24日掲載

有限会社テヅカプラニング 手塚英雄

 

 

15 アパート経営その前に

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