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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。
平成26年
平成27年
平成28年
平成29年
平成30年
令和元年からのコラム
平成31年
6. リスク 生命保険
7. 資産設計1
8. 資産設計2
9. 資産設計3
10. 投資マインド
11. 長期分散投資
12. 資産の棚卸し
13. FPになろう
14. 生命保険の見直し
15. アパート経営その前に
16. 相続その前に
平成19年
12 資産の棚卸し
日経平均株価はこの1 ヶ月の間に18,000 円から15,000 円まで急激に変化をしました。最近の投資ブームに乗り株式や投資信託を購入された方の資産が相当傷んでいるかもしれません。値上がり益を見込んで旅行や大型家電の買換え等の計画が吹っ飛んでしまったかもしれません。
投資にはリスクが伴うと聞いてはいたけれど、実際に体験すると気分が本当に滅入ってしまいます。自己責任とは分かっていながらも、誰かに八つ当たりしたい気分です。本当は私は投資なんてやりたくなかったけれど、あなたがしきりに勧めるものだから付き合いのつもりで始めたのよと言って、減少したお金を少しでも返してもらいたいところです。
人は大きな痛みを経験すると、その恐怖から2度と同じ場に立とうとしなくなることもあります。投資は金持ちのやることで、私達庶民は真面目に働いて、稼いだお金でやり繰りできれば、それが幸せなのよと自分に言い聞かせたくなります。
初めてギャンブルを行なってたまたま勝ってしまうことをビギナーズラックと言いますが、投資は長期に渡りますので、ラッキーばかりが続くことはありません。自らのスタンスを確認してからはじめましょう。
資産の一覧表を作ろう
投資というとリターンやリスクが気になりますが、最初に取り掛かることはご自身の資産一覧表の作成から始めましょう。妻や夫に内緒のへそくりで投資して、儲けたお金は好きに使おうと考えていたら、この時点で投資不適格者になります。
資産の一覧表というと預貯金、株式、債券、投資信託等の金融資産や生命保険、損害保険や住宅ローン、その他ローンなどを一覧にまとめます。何だそんなことかと思われるかもしれませんが、何事も現状把握が大切です。今を起点にして将来をどのように生きるかが、投資には欠かせません。
金融機関とお付き合いでその時々のキャンペーンに応じて口座の開設、定期の新設、金融商品の購入等知らぬ間にお金があちこちに眠っていて、一体どのくらいあるのか(または無いのか)分からなくなっていることがあります。1つの口座に1,000万円を超える金額があれば、ペイオフ対策上分割する必要がありますが、そうでなければ分散している口座はまとめましょう。通帳の数が少なくなると、これに伴う印鑑、カード、暗証番号等の管理が少なくなります。この作業の中で忘れていた口座に残高が見つかれば、得をした気分になれます。
続いて保険においても同様のことが言えます。これもお付き合いで加入したり、掛金が少ないからという理由で加入していますと、知らぬ間に証券の数が増えてしまいます。預貯金と異なるのは毎月定期的に掛金が引き落とされますので、本当に必要かどうかの検討が求められます。不要と思われる保険を整理することは、投資を始める以前に行ないましょう。
保険は保障を購入するものと決め付けることは出来ません。保険の中には満期時に返戻金のある金融商品と同様なものがあります。例えば、養老保険、子供保険、損害保険の積立保険などは保障を購入するより積立をしているに近いかもしれません。掛金の一部は保障に充てられますので、当然のことながら掛金合計より返戻金は少なくなります。
また、証券会社からは定期的に残高報告書が送られてきます。これを見ると株式、MRF、投資信託、外貨預金、利付金融債などの取引内容及び残高が確認できます。ファイリングしながら、一覧表に転記していけば資産内容が把握できます。転記することによりいつ頃どんな取引がされたか、当時いくらで現在いくらであるかなど、ご自身にインプットされます。これにより次にすべきことが浮かんできます。
金融機関から送られてくるものには間違いがないと思われる方がほとんどでしょう。しかし、あるはずのお金がいつの間にか無くなってしまったという事故が発生しています。本人に無断で引き下ろされてしまったという事故の被害者にならないためにも、自己資産を定期的に確認することは大切です。
資産の確認
資産の一覧表を作成すると意外と多くの資産があると思われるか、そうでないかは個人差があります。一覧表作成の次に行なうことは、現物確認です。預金残高に間違いはないか、保険証券は確かに手元にあるか、もし無ければ保険会社に問い合わせます。保険の場合証券が在っても、有効に継続されていなかったりする場合がありま
す。問合せをする際はその保険契約の有効性も確認しましょう。
財形貯蓄の証書、保険証券、株券の預り証などはまとめてファイリングするのが良いでしょう。金融機関から定期的に送られてくる通知書や報告書等は1 年分だけ保管して、次のものが届いたら差し替えるのが良いでしょう。
このように整理を始めますと、金融資産だけではないことに気付くでしょう。不動産であれば謄本や権利証があります。固定資産評価額は3年に1度評価替えが行なわれますが、その値は正しいでしょうか。
多くの不動産を所有している方はその中に相続した不動産もあるでしょう。名義変更がされないままの不動産が無いか確認しておきましょう。
資産の整理確認はこれからの投資に役立つばかりか、万一の相続の際にも必要になります。あなたの財産は遺族が引き継ぐことになりますので、遺言で財産の行方を指示するにも、遺族が遺産分割するにも必要になります。そして保管にあたっては火災や地震で焼失することもありますので、原本は貸金庫に保管して、複写を手元に置くようにします。
負債の整理
これまで資産である積極財産について話してきましたが、消極財産である負債についても整理しましょう。消費者ローン、自動車ローン、カードローン等があれば整理して一覧にまとめると同時に一括もしくは一部でも返済します。クレジットカードでリボルビング払いやキャッシングを行っていたら、すぐに止めましょう。カードは一括払いに限って利用します。
現状の預金金利に対して各種ローン金利は10倍以上になっています。投資して儲かったら一括返済しようと考えていたら、投資は諦めたほうがよいでしょう。まして借金して投資をしようとすれば、やがて多重債務に苦しみ、借金取りに追われ、結果として全てを失い自己破産の道を歩むことになるかもしれません。
借金の中でもっとも大きなものは住宅ローンでしょう。住宅資金3,000万円を金利3.0%で30年借りたら、ボーナス返済なしで月々の返済は12.7万円、総返済額は4,554万円になります。一方12.7万円を金利3.0%で運用しながら貯蓄すれば、15.5年で3,000万円に達します。金利3.0%では貯蓄期間は返済期間のほぼ半分になります。あ
れこれ悩む資産運用より、借金があればコツコツ貯めて繰上げ返済を行なうほうがはるかに効率の良い運用といえます。
住宅ローンのある方が投資を考えるならば、先に住宅ローンの返済を行いましょう。投資はゲームではありません。一生涯におけるリスクマネジメントですから、対処すべきは現在抱えるリスクが優先されます。現在保有の資産、負債を一覧化することにより、そこから見えてくるものが必ずあります。ご自身、ご家族の将来に向けて取り組まなければならないこと、今日から手が付けられることが見えてくるでしょう。
長野日報土曜コラム平成19年8月25日掲載
有限会社テヅカプラニング 手塚英雄
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