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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。

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年間 100 万人の相続

 

平成 16 年度総務省の統計によれば、103 万人の方が亡くなりました。死因別に見るとガンによる死亡が30%を占め、心疾患が16%と続きます。交通事故が1万人、自殺が3万人となります。交通事故に比べ自殺の割合の高さに驚かされますが、年間103万人とは日本の人口の1%の方が毎年亡くなっているわけです。現在世界一の長寿国といわれ2007年から団塊世代の方が退職され、ますます高齢化社会になるなかで、亡くなる方の数は今後増えていくことと思われます。年齢別に見ますと65歳以上の方の割合が80%超を占めています。

 

毎年多くの方が亡くなるということは、その死亡の数だけ相続があります。人の死は悲しい、忌まわしいと言う感覚になりがちですが、人生90 年人の寿命には限りがあります。そして亡くなった方の権利や義務を継承する相続が発生します。

 

95%の方は相続税は関係ない

 

相続と言えばまず思い浮かぶことに相続税があります。一般に相続税を払う家庭は5%と言われています。95%の家庭は相続税を払うことはありませんので、ほとんどの方は相続なんて関係ないと考えてしまうのでしょう。

何故95%の家庭に相続税がかからないか見ていきましょう。相続の課税の対象となる財産は被相続人(亡くなった方)が生前保有していた財産や亡くなったことにより支払われる保険金、退職金などが対象となります。財産の中にはプラス資産だけでなく、マイナス資産である借金や葬式費用はプラス資産と相殺することが出来ます。さらに生前贈与された一定の財産があれば加えます。

 

財産評価において預貯金は元金に利息が加えられた金額になり、上場株式は亡くなった時点の株価となります。土地は公示価格の8 割で評価し、建物は固定資産税評価額で評価することになっていますので、購入価格より低く算定されます。

 

これらの財産の合計額から基礎控除額を差し引いて相続税を計算します。基礎控除額は5,000 万円+1,000 万円×法定相続人の数で計算されます。例えばご主人が亡くなり、遺族が配偶者と子供2 人では法定相続人は3人となり、8,000万円が基礎控除額として相続財産から差し引くことになります。相続財産が8,000 万円以下であれば、この相続において相続税はかかりません。結果として相続税が発生する家庭は5%になる訳です。

 

相続税は法定相続分で計算

 

相続人が配偶者と子供2 人で相続財産が1 億円あれば、基礎控除額8,000万円を除いても2,000 万円あります。相続税を計算する場合1億円の相続財産を相続人が実際にどのように分割するかはは関係なく、2,000 万円を法定相続分で分割して計算します。

 

この場合配偶者の法定相続分は1/2となり子供はそれぞれ1/4となります。配偶者は2,000万円の1/2である1,000万円に対しては100万円、子供は500万円に対してそれぞれ50万円ずつで合計200万円の相続税になります。誰がいくら負担するかは相続財産の取得分に応じて算出されますが、この家庭では合計で200万円の相続税が求められることになります。

 

しかし、配偶者は亡くなった方と共に財産を築いて来たことから、取得割合が法定相続分(1/2)もしくは1億6,000万円までの取得では相続税が発生しない規定があります。もしこの家庭で1億円の1/2である5,000 万円を配偶者が取得して子供たちが1 億円の1/4 である2,500 万円ずつ取得すれば、配偶者の納める相続税は規定により0円で子供たちはそれぞれ50 万円ずつ納めることになります。

 

遺留分に注意しよう

 

子供たちの支払う相続税合計100万円がもったいないとすれば、相続財産の1億円を全て配偶者が取得します。取得額が1 億6,000 万円以下なので配偶者の規定により相続税は払わなくても良いことになります。これは子供たちが相続財産を一切取得しないことになります。子供たちが相続放棄をすればそれでも良いでしょうが、相続には遺留分という制度があり、自らの権利を主張すれば必ず財産を取得できる割合を決めています。

 

この場合では法定相続分の1/2 になりますので、子供1 人にしてみれば1/8(=1/2×1/4)となり相続財産1 億円では1,250 万円が遺留分になります。ちょうど法定相続分の半分になります。また配偶者が全部取得してその時は相続税が発生しなくても、やがて配偶者が亡くなった際には基礎控除額が1,000 万円少なくなり、配偶者の規定もありませんので、子供たちは相当の相続税を払うことになるでしょう。

 

全ての相続に遺産分割がある

 

相続税が発生しなくても亡くなった方の財産は遺族に引き継がなければなりません。引継ぐ者は一般に配偶者と子供たちになるでしょう。実際にこの引き継ぐ財産の割合や内容をどのように決めるのでしょうか。果たして遺族だけで円満に決められるでしょうか。

 

年間100万件の相続のうち80%は65歳以上の高齢者です。このくらいの年齢になりますと子供たちもそれぞれ世帯を構え孫も生まれているでしょう。家から独立して30 年以上が経っているかもしれません。

 

近くに住んでいれば顔を合わせることがありますが、遠くに住んでいれば盆と正月くらいに顔を合わせるくらいでしょう。互いの生活状況は詳しく知ることはできません。そんな兄弟姉妹が相続財産の取得分を決めていくのです。

 

子供の立場からすると兄弟姉妹の生活状況は分からないので、どうしても自分の生活優先になってしまいます。これから子供に養育費用がかかるし、住宅ローンも残っている状態では少しでも多くの財産を求めるかもしれません。もし互いが自分の主張に拘れば分割協議はまとまりません。結果として法定相続分で分割ということになるのでしょうか。

 

相続協議時期はデリケート

 

相続発生前は病院に入院していることが多いでしょう。その間の看病は配偶者や近くに住む子供たちが行なうでしょう。遠くに住む子供も見舞いに駆けつけることでしょう。家族の誰もが回復を信じて看病します。そして看病の甲斐なく余命わずかと医師から告げられても、この場で相続の協議は難しいと思われます。海外ではこの時点で協議が普通に行なわれるようですが、日本では生きている人の前で相続協議は不謹慎と思われるでしょう。

 

相続が発生すれば、通夜、告別式が続き、忙しい日々が続きます。やがて四十九日法要が過ぎると一段落かもしれません。相続の放棄は亡くなった日から3 ヶ月以内、相続税の申告は10 ヶ月以内と決められています。相続税が発生する場合はこれまでに遺産分割を行い、相続税を支払わなければなりません。

 

一旦入院してからは子供たちが久しぶりに顔を合わせたからといっても、その間相続協議を行なうのは難しいでしょう。それでは相続が発生してからは相続対策として節税や納税資金対策などはさらに難しいでしょう。

 

生前のメッセージ

 

相続税を納めるのは残された遺族です。相続税の計算にはまず相続財産の把握が必要となります。この財産評価は法律で決められていますので、自分勝手に評価するわけにはいきません。

 

財産がどのくらいあるのか、これが分からなければ相続税が発生するのかしないのか、誰が何をどのくらい引き継ぐのか検討も出来ません。

 

プラス財産、マイナス財産だけでなく保証人という責任や加入している保険等も引き継がれます。これら財産の正確な把握が出来るのは亡くなっていく方だけかもしれません。きちんと整理して次代に伝えることは大切なことでしょう。

 

また残された遺族だけでは相続協議がスムーズに行かず、「争族」に発展することもあります。自己主張に終始すれば相続財産の規模にかかわらずトラブルになる可能性はあります。一旦協議がこじれると長期化し、その後親戚付き合いが全く無くなる場合もあるでしょう。

 

亡くなった方は生前努力され資産を築いてきました。亡くなった後は別世界で家族仲良く話し合って欲しいと願うだけでなく、誰が、何を、どのくらい取得するかの道筋をつけておく責任があります。メッセージの伝え方として遺言という方法がありますが、生前に家族の意見を聞きながら申し伝えるほうが穏やかかもしれません。

 

相続は人の死によって開始されますが、それまで何もせず無関心でいいと言うことではありません。無関心は家族を傷つけることになります。子供にすれば独立して何年経とうが、親からのメッセージは第一優先に受け止めるものとなります。遺産分割に関するメッセージは生者として最後のメッセージではありません。

 

長野日報土曜コラム平成19年12月22日掲載

有限会社テヅカプラニング 手塚英雄

 

 

16 相続その前に

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