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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。
平成26年
平成27年
平成28年
平成29年
平成30年
令和元年からのコラム
平成31年
41. 個別相談
42. 住宅と教育そして老後
43. 不安を課題に
44. 金融スキルで免疫力向上
47. 経営者の老後資金
48. 男と女の金銭感覚
49. エンディングノート
50. 退職者の生活設計
51. 死ぬ前にやっておきたいこと
52. お葬式
平成22年
42 住宅と教育そして老後
3大資金の優先度
人生の3大資金と言えば住宅、教育、そして老後資金があげられる。それぞれが約3000万円とすれば3大資金合計で1億円になる。一方一生涯に稼げるお金はというと、20歳から60歳までの40年間の平均収入を500万円とすれば2億円に達する。
しかし、2億円がそのまま自由に使えるお金ではない。収入から税金や社会保険料等を差し引くと1億7000万円になる。ここから3大資金の1億円を除けば、残り7000万円で車を買換え、食費を払い、水道光熱費や通信費、被服、衛生、日用品等の購入に消費することになる。
考えただけでうんざりし、思考回路が停止しそうである。この3大資金は同時に発生するのではなく、まず住宅が初めにやってくる。親元から独立してアパートや住宅ローンが住宅費用として発生する。
次に教育費は子供が2人いるとして小さいうちはさほどかからない。習い事や学習塾、部活動と子供が大きくなるに連れて次第に金額は大きくなり、大学進学から卒業までの間でピークに達する。2人の子供が同時に大学に行けば、家計は破綻状態である。
子供の教育費支出が終わる頃、親の退職が近づいている頃である。住宅ローンや教育ローンが残っていれば退職金で精算することになる。多少残ったとしても65歳になるまでは年金は支給されない。今後年金だけで生涯生活していけるのだろうか。
お金のやり繰りのしわ寄せは、最終ステージに集中する。先送りしたつけは老後の生活資金で精算する。今後金利上昇すれば手元資金が増加するが、バブルが崩壊して20年経つが、低金利のまま現在に至っている。
空家率の高まり
親として子供をどのように養育するかにより、かかる費用に差は出てくるが、養育自体は親の責任である。また老後費用は親自身の生活費であるので、共に経常的に発生する必要経費である。
ところが住宅費は自身が判断できる高額支出である。住宅に関連して空家率が年々上昇している。2009年の総務省によれば2008年時点で空家率全国平均値が13.1%である。少子高齢化が進行すれば当然のことかもしれな
い。
都道府県別に見れば高い順に山梨20.2%、長野19.0%、和歌山17.9%、低い順には沖縄10.2%、神奈川10.5%、埼玉10.6%である。長寿県で持家率の高い長野県がどうして空家率が高いのか疑問に思ったところ、空き家にカウントするものとして賃貸住宅、戸建住宅、別荘が含まれている。山梨、長野とも普段人が住んでいない別荘の数により空家率が高くなっているということだ。
それでも中古住宅が売りに出されているのをよく見かけるが、あまり売れていないようだ。日本人の性格から自分の居住空間に他人の痕跡を好まない潔癖症に起因するところである。
また最近住宅の安全性が問われる中、構造的に不安視されている。新築であれば施行業者に不具合箇所の責任も問えるが、中古住宅ではあいまいになりがちである。さらに中古住宅はコミュニティが確立された場所にあるので、新参者は既成のコミュニティを嫌う傾向もある。
資源の有効活用と住宅費負担の減少を考えれば、中古住宅のリフォームは有効に活用したい。
住宅ローンと教育費はバッティング
賃貸住宅に居住している場合は子供が小学校に通う頃、マイホームを取得する人が多いと思われる。月々の家賃で
は将来形に残らないので、持家を希望する。家賃プラスアルファで住宅ローンが組めるならばと思い、35年のローンを設定する。子供に手が掛からなくなれば、配偶者のパート収入も期待できるので何とかなるだろう。
6 歳の子供も12年経てば大学受験を迎える。その頃住宅ローンはまだ3割程度しか返済が終了していない。東京の私立大学に進学すれば4年間で1000万円かかるとも言われている。受験の際には各校の受験費用、交通宿泊費がかかり、合格すれば入学金が発生する。第1志望校は比較的遅い時期に発表になるので、入学金がダブル、トリプルになるかもしれない。
そして一人暮らしになれば家財道具を一通り揃えることになる。また現在ではパソコンは必携となるだろう。加えて2人目が進学したら、現状と同じように住宅ローンを返済できるのだろうか。
住宅ローンは借入金額を少なくし、返済期間を短くすれば金利負担は少なくて済む。しかし月々の返済額は多くなるので、教育費ピークを想定して住宅ローンの返済計画が求められる。資金ショートから教育ローンを借りれば、住宅ローン金利より高くなってしまう。直近のイベントを優先するあまり、大学在学中は湯水のように消える教育費にまさかを感ずるものである。
教育費投資は老後の保険にならない
小学校の低学年までは情操教育に力を入れ、高学年から中学校になると部活動や学習塾に通う割合が増えてくる。家庭教師を個別に依頼する家庭もある。高校は受験校に入学すれば、大学受験に向けて偏差値至上主義が徹底される。
かつて子供が小さいうちは身体は健康で気は優しさを求めていたが、成長するに従い学力に重点が置かれる。親は少しでも良い大学を希望し、子供もそれに応えようとする。良い大学とは東大をトップに偏差値順にランキングされている。
偏差値の高い大学に入学できれば、有名企業に就職できる可能性が高まるので、親としては安心できる。子供もそれなりに稼げれば生活が安定することになる。
子供が親の期待通りに高い偏差値の大学に入学でき、有名企業に総合職として就職するとどうなるだろうか。ほとんどの企業では本社は東京に集中している。地方の支店に転勤することはあっても地元に戻る可能性はほとんどない。
住居を構えたところがやがて生活の拠点になるので、故郷に戻るのは盆と正月くらいになるだろう。偏差値の高い大学を出すには、これまで1000万円をはるかに超える金額が投じられているが、親はそのみかえりを期待することは出来ないのだ。
そもそも教育投資にリターンを求めることが間違っているのだろう。やがて親が年老いても日常の支えや介護補助員として期待することは出来ない。教育とは投資ではなく奉仕もしくは道楽として受け止めたほうが気が楽になる。
老後の迎え方
やがて子供は独立して親元を離れ自分の家族を形成してゆく。自分がかつてそうしたことを子供の記憶にも焼きついている。自分は独立したのに子供には同居を望むのは勝手すぎるだろう。最近の就職難から生活費削減のため親と同居する子供が増えたといわれるが、緊急避難措置でありいつまでも続くとは思えない。
男の場合、現役時代に好きでもない仕事や細かいことにうるさい上司と仕事をしてきたので、退職後はのんびりと夫婦で温泉や旅行に行き、好きなことに時間を使いたい、若い頃出来なかった夢をもう一度行ないたいと思うか
もしれない。
しかし、妻は一緒に旅行に行ってくれるだろうか。旅先まで夫の面倒をみるのは嫌がるかもしれない。旅行だって毎日行けるものではない。他の日は何をして過ごすのだろうか。会社に行く必要もないし、迎えてもくれない。
これまで会社一筋できたならば地域とのつながりも薄く、自治会に入ってもなんとなく浮いた存在になってしまう。男は仕事を通じて友人関係を作っているので、仕事の切れ目が縁の切れ目になりやすい。退職後に元取引先として元上司として振舞われるのは御免被りたい。
老後は趣味でも奉仕でも地域おこしでも利害関係のない仲間と過ごせたらいい。男は女と異なり自己表現が下手である。黙っていては誰も理解してくれないので、話の輪に入っていけない。退職後に新たな趣味を見つけようとしても容易に見つかるものではない。現役のうちから退職後を想定して、一生夢中になれる時間つぶしの術を身につけておきたい。
長野日報土曜コラム平成22年2月27日掲載
有限会社テヅカプラニング 手塚英雄
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