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長野日報新聞「土曜コラム」に掲載中のコラムです。ぜひお読み下さい。
平成26年
平成27年
平成28年
平成29年
平成30年
令和元年からのコラム
平成31年
113. 長期投資家は幸せ者
114. 選択制確定拠出年金
115. 持続的幸福感の増大
116. 幸福感を高める
117. 人生を明るく豊かにするポジティブ心理学
118. 明るく働き甲斐のある職場づくり
119. 日本的ポジティブ感情
120. 煩悩は常に悪とは限らない
121. バランス感覚は大事
122. 果報は自力で引き寄せる
123 こだわりは長所か短所か
124 年の初めの資産管理
平成28年
121 バランス感覚は大事
身体のバランス
中国人中高齢者の理想の体型は下腹部がちょっと出た太目な体型らしい。細身では貧相に見え、太目のほうが裕福に見えるからだという。
一方米国ではリーダーはスリムでなければならないという。太目は自己コントロールの欠如と受け止められる。自分の本能に任せ理性でコントロールできないのはリーダーとして失格ということだ。そういえばオバマ大統領はスリムであるが、次期大統領候補は共に太目に見えるが、今後米国はどうなるだろうか。
かつて身体運動といえば持久力を鍛えるために長時間のランニング、筋力を鍛えるためにボディビルまがいのトレーニングが主体であった。
ところが最近では体幹を鍛えることが注目されている。体幹トレーニングにより体型がスリムになり、長い時間疲れにくくなり、ダイエット効果もあるといわれている。
ゴルフでは軸がブレなければ打球の方向性は安定し、飛距離も伸びる。サッカーでは空中姿勢が安定するので、競り合いに強くなる。またケガをしないようになるとも言われている。
日常生活でも肩こり、腰痛の減少、質の高い睡眠、トレーニング効果の上昇など体幹を鍛えることによる効果は多い。
身体のバランスと共に食事のバランスも大事である。食事は腹八分目で主食、主菜、副菜をバランスよく摂ること。減塩は高血圧と胃がん予防になり、脂肪を減らすことで心臓病予防になる。
食物繊維は便秘や大腸がんの予防になり、カルシウムは骨づくりには必須であるなどは健康診断時に指導される内容だ。
さらにふらつき、めまい、気を失うなどのバランスの崩れは病気の症状である。ストレスや過労、不安や緊張から来る自律神経失調症、脳血管内の動脈硬化、血栓があれば脳梗塞が疑われる。バランスが崩れると身体が危険信号を発し、何らかの処置をするよう求めてくる。
人間関係のバランス
人は相手から物品や行為を受けると、そのままではいられず何かしら返したくなる。これを心理学では「返報性の原理」という。お中元やお歳暮のやり取りもこの原理に基づいている。もらったら返さないと気分が落ち着かない。社会生活で相手と上手に付き合う術が本能的に働く。
この原理はマーケティングにも利用されている。ショップで試食すればつい購入する、営業担当者からプレゼントを受けると契約という形で返してしまう。タダほど高いものはないということだろう。
人間関係のバランスが崩れると親しい人としか付き合わなくなる傾向がある。だから他の人から見れば付き合いの悪い人に映るだろう。このような人は偏った思考に陥る場合があり、人格障害や情緒不安定を引き起こしている可能性がある。
普通の人だったら、これ以上言ったら相手が不快を感じるだろう、相手を困らせてしまうだろうと感じるところが、人間関係のバランスが取れないと相手を思いやる気持ちが持てない。
その原因には、未熟な人格形成が根底にあり、親の過度な期待や理想のしつけを受けたり、児童虐待を受けたりしたことがあるといわれている。
精神障害は長い時間をかけて形成されているので、時間が経てば治るものではない。専門家によるカウンセリングが必要であるが、身体に比べ本人は危険信号を感じないので、処置されないこともある。
家計のバランス
家計のバランスは自動車の運転と似ている。運転免許を取り立ての初心者はシートから背を起こし、ハンドルを力強く握り視線を比較的近くに置く。
縁石に乗り上げたり対向車と衝突しないように注意するあまり車体はフラフラと蛇行する。視線を前方遠くにすることで姿勢はリラックスし、走行は安定する。遠くに視線を置いても近くも見えているので、急な障害物にも対処できる。
さらにナビゲーションを使用すればこの先の渋滞状況や到着時刻まで分かるので、イライラ気分は減少し安全運転が行われる。
家計においてナビゲーションはライフプランであり、安定走行は貯蓄と欲求制御となる。結婚すれば披露宴や引越しが発生し、子供が産まれれば養育、受験、入学、授業料等が連動し発生する。
マイホームを取得すれば住宅ローン、税金、保険料、維持費が新たに発生する。年をとって退職すれば年金生活になり、医療費や介護費用がこれまで以上に発生する。
これらは誰が考えても当たり前に発生する費用である。分かっているのに何故準備が出来ないのだろうか。まとまったお金が準備できないならば、マイホームのようにローンという方法もある。ローンを使用すれば当然金利を上乗せして返済することになる。
人には本能による欲求が備わっているため、遠い将来より現在の満足を優先してしまう。遠い将来はどうなるか分からないとごまかし、手元のお金を現在の欲求を満たすために使ってしまう。
しかし、確実に将来が訪れ現実となったときにどんな対応ができるだろうか。とりあえず初めての借金でハードルを越えたつもりでも次のハードルが同様に超えられるとは限らない。
借金に追われると気が滅入り体調を壊し、多少あがいてみてもなんとも成らなければ無視をする。高い代償を払いつつこれまでの信用を失い、やけを起こせば家族の絆を壊すことになる。
将来の煩わしいこと、不確定なこと、考えたくないことでも必ず現実化する。先送りしたつけは老いた我が身に降りかかる。5年先さらに10年先を想定してバランス感覚を持って安定走行をしたいものだ。
仕事のバランス
サラリーマンは同じ仕事をしても勤務する会社によって給与が異なることがある。そのため会社を次から次と渡り歩くことも収入増加になる場合もあるが、転職するたびに収入が減るのが一般的である。
それでは今いる会社で収入を増やすにはどうしたらよいだろうか。
会社規模により異なるが、新卒者は20代では仕事における基礎体力が求められ、30代では突破力、40代では意思決定能力が求められる。このあたりから専門職と管理職に分かれていく。
専門職と管理職に差を付けない給与体系を持つところもあるが、一般的に管理職のほうが給与は高い。それならば給与が高い管理職を目指すといっても、管理職に応じたスキルがなければ叶わない。
管理職に求められるスキルとは「利害調整力」といっていいだろう。営業職で大口契約を連発しても厳しい納期や価格であれば、製造、経理担当は無理な対応を強いられる。研究職で日々遅くまで熱心に研究しても、顧客の要求と乖離していれば自己満足でしかない。
同じ社内でも担当部署により利害は異なり、相手が他社であれば利害はさらに先鋭化する。これら利害を調整できる能力が管理職には求められる。
利害調整力は相手に対する気配りでもある。相手の喜ぶこと、嫌うこと、求めることとこちらの要望を重ね合わせるには高度なバランス感覚が必要である。
現在の会社で給与を上げるにもバランス感覚は大いに役に立つ。反対にバランス感覚がなければ組織の中で仕事はやりづらい。
日常生活は仕事と異なり論理的に捉えることが少ないかもしれない。その分家庭では感覚的、衝動的に行動しがちである。将来のライフイベントを考えれば家庭でも感覚的、衝動的ではいられない。
バランス感覚には広い視野と洞察力、リスク感覚が求められるが、そのお陰で収入が増えるならば想定外のライフイベントにも対処しやすい。
バランス感覚がしっかりしてくれば誰とでもどんな人ともコミュニケーションが取りやすくなる。これはやがて老いて仕事を離れた後でも必要な感覚になる。話し相手のいない生活は想像以上に寂しい。
長野日報土曜コラム 平成28年9月24日掲載
有限会社テヅカプラニング 手塚英雄
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